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平和のための諸資料の保存・普及へ

2007年7月30日

山口由昭さん(平和博物館を創る会)
―――「平和博物館を創る会」は主に平和のための諸資料の製作・普及の活動をなさっています。憲法の平和主義の規定を変えようという動きが強まっている中で、皆さんの活動は大変重要だと思います。具体的にどのような活動をなさっているのでしょうか。
(山口さん)
 1945年8月の、広島・長崎への原爆投下はどのような被害をもたらしたのか、それは今日生きる私たちにどのようなメッセージを発しているのか、ということを人々に伝えていこうというのが私たちの活動の出発点です。それは今も変わっていません。
 最初は原爆被爆の実相についての写真集を出そうということからスタートしました。1977年夏に各国のNGOによる被爆問題シンポジウムが開催され、原爆被爆の実相を広げようというアピールが採択されました。そしてそのアピールを具体的なものにしようと、同年秋に「子どもたちに世界に! 被爆の記録を贈る会」を立ち上げ、まずは写真集を出そうということになったのです。原爆投下と敗戦の頃に子どもだった世代の人たちが、次の世代の子どもたちにも被爆の実相の記録を伝えよう、また世界の人々に贈ろうとしたわけです。
 1978年に国連で軍縮特別総会が開かれることになっていましたので、その総会に向けて日本語版とともに英語版の写真集もつくりました。「子どもたちに世界に! 被爆の記録を贈る会」は国連軍縮特別総会の際、ニューヨークでも写真展を行い、被爆の記録をアメリカ人など世界の人々に知らせました。その時、その写真展に一人のアメリカ人が訪れました。彼は、展示されていた写真には自分が撮ったものがあると言うんです。彼は終戦のあとすぐに米軍のカメラマンとして広島・長崎で映像を撮っていたんです。彼と話をする中で、当時撮った映像がアメリカの国立公文書館に数多く保管されていること、プリント代を支払えばフィルムを入手できることがわかったんです。
 「贈る会」はアメリカにある原爆記録映像を市民の力で入手し、反核・平和の記録映画をつくり、世界的に上映する運動「10フィート映画運動」を展開し、こうして3部作『にんげんをかえせ』『予言』『歴史―核狂乱の時代』ができたのです。1982年には第2回国連軍縮特別総会が開かれることになっていましたので、『にんげんをかえせ』『予言』はそれに間に合うようつくられました。
 「贈る会」はその後、市民の基金で入手したフィルムや資料を保存・活用していくことを目指し、1983年に「平和博物館を創る会」を設立しました。

―――「平和博物館を創る会」はどのような活動をしてこられたのでしょうか。
(山口さん)

 「平和博物館を創る会」は以上のような経緯で設立されましたので、広島・長崎への原爆投下の被害の実態を後世に伝えることが活動の原点となっています。しかし、活動の幅は広がっています。写真集やドキュメンタリー映画をつくるとともに、様々な書籍や絵本も出版してきました。

―――私ども法学館憲法研究所もドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」の製作に加わり、現在全国各地で上映してもらっていますが、歴史的な資料を収集・保存し、普及していく活動というのは、ご苦労も多いのではないかと思います。いかがでしょうか。
(山口さん)
 たしかに大変なところはありますが、これまで重要な資料をいろいろと蓄積してきましたので、この活動はぜひとも継続していく必要があると思っています。写真集や書籍、映画の普及を進めていきたいと思っています。
 ただ、優れたドキュメンタリー映画をみんなで集まって観るという活動が以前と比べると少なくなっています。また、社会的な問題に焦点をあてたドキュメンタリー映画のつくり手の育成も簡単ではありません。かつての10フィート運動を超えるような市民運動が必要になっています。「平和博物館を創る会」はこのような課題に向き合い、新たな運動をつくっていくことを呼びかけていかなければならないと思っています。

―――大変重要な活動をされていると思います。ぜひ私たちも連携させていただきたいと思います。
 最後に、山口さんの憲法についてのお考えをお聞かせいただけませんか。
(山口さん)
 多くの人たちは、憲法というものを自分の生活に関わるものとして具体的にイメージできないのではないでしょうか。社会状況や日々の生活の中で、その思考の範囲が日々狭められてしまっているように思います。一人ひとりの日常的な思考から多くのことが弾かれ、平和も憲法の問題も考えにくくさせられているように思います。憲法の平和主義は大切ですが、憲法の持つ「重み」を広める時にも、大上段から訴えるよりも、一人ひとりの命と生活との関係で考えていくことのできる環境づくりが大切ではないかと感じています。

―――本日はどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。


「平和博物館を創る会」のホームページはこちら


 
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