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今週の一言

 

戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む

2007年7月23日

中竹忠浩さん(「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」実行委員会 事務局長)
 「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」は「アジア・太平洋戦争」での日本の侵略行為による被害者を招いて当時の体験を語っていただき、戦争犠牲者に対する追悼を行ってきました。

 集会を開くことになったきっかけは、1985年に行われた中曽根首相(当時)の靖国神社参拝です。靖国参拝には日本が戦争を行い国内外で多大な犠牲を生じさせたことへの悔恨が抜け落ちているなど、戦争犠牲者の追悼として適切ではないという理由から、翌1986年に特定の宗教・宗派にとらわれない形で、「アジアへの加害」に重点を置き、私たちは追悼集会を始めました。それ以降、賛同して下さる多くの方々や各地スタッフのおかげで、個人単位での参加・活動をベースとしながら毎年全国十数カ所で集会を開き、そして、今年も8月11日から8月18日まで、全国各地で集会を開催します。

 今年は「日中戦争70年―南京虐殺と日本のいま」というテーマで、南京から体験者や研究者を招いて、南京事件の証言や南京と日本の研究者のシンポジウムを企画しています。大阪集会では、もはや数少ない生き証人のひとりとなった夏淑琴さんの証言を通じて、虐殺の現実に迫ります。また、同時に、「ふつうの人たち」が疑問を持つことなく侵略戦争を支持した当時の日本社会の危うさについて、今の日本の状況を重ね合わせながら考えていきたいと思います。

 今年の事務局は、事務局長を31歳の私=中竹が引き継ぎ、30代のスタッフが主力になるなど、世代交代が進んでいます。憲法「改正」への動きが強まっている中で、平和憲法がつくられた背景にある歴史をしっかりと学び、若い世代にも広げていきたいと思っています。

以下、今年の集会の趣意書と概要を掲載します。


第21回 アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会 「 ―日中戦争70年― 南京虐殺と日本のいま」

2007年6月10日

 いま、南京には高層ビルが建ち並び、かつてこの地で起きた「事件」について思い起こさせるものは何もないかのようです。南京虐殺から70年、あまりに永い年月は中国の近代化と引き換えに、語ることのできる証言者を奪いつつあります。しかし、南京虐殺を生き延びた人たちの話に耳を傾ければ、その記憶の生々しさに驚かされます。彼らにとってその傷跡は紛れもない「いま」の出来事なのです。

 一方、日本国内に目を向けると、過去に大きな過ちを犯した国とは思えないような動きが昨今数多く見受けられます。政府や国会においては安倍首相の「慰安婦」発言をはじめ、日米同盟強化のための数々の施策、憲法「改正」に向けたあわただしい動き、武器輸出禁止三原則を曲げる論議などが見られます。また、民間レベルにおいても、南京事件を矮小化するにとどまらず、南京事件そのものさえなかったことにしようとする出版物が世間にあふれ、ネット右翼に代表される排他的で傲慢な主張をする人たちが目立ちます。

 私たちがもっとも危惧することは、歴史の現実から目を背けるこうした動きが、やがて以前と同じ現実を引き起こしてしまうのではないか、ということです。現在の日本の空気は、1930年代に日本がアジア侵略を行った時の雰囲気とよく似ているという歴史家の指摘もあります。

 なぜ、いま日本はこのような状態にあるのでしょうか。日本人が右傾化したためでしょうか。あるいは歴史観が「転回」したためでしょうか。私たちはそうではないと考えます。むしろ、問われるべきは、日本人が「転回」するほどに深い歴史認識を有していたか、ということではないでしょうか。日本人が歴史に対して無関心になっていったこと、つまり、戦争を体験した人たちの記憶を十分に継承してこなかったことが、いまの日本の現状を成り立たせている背景になっていると思われます。

 記憶の継承とは、ある時代の人たちの体験を社会一般の共通認識へとひろげ、将来への指針としていくことです。先の日本が引き起こした戦争によって、アジア・太平洋地域をはじめ、さまざまな国の人たち、また日本人自身も多大な被害を受けました。それらの犠牲となった人たちを追悼するとともに、どういった人がどのような被害にあい、その後の人生をどのように変えられたのか、そしていま何を思い何を訴えているのかといったことについて被害者の声に耳を傾け、被害体験を共有することが私たちに求められているのだと考えます。

 また、この戦争には多くの日本人が関わりました。日本を戦争へと導いた人、戦争を指導した人、実際に武器を取った人、それを支持した人、そしてその時代を生きた人。これらの人たちの体験を日本人一般の共通認識として「共有」する努力も私たちには欠けていたといえます。

 現在私たちが手にしている平和憲法と民主的な諸制度は、先の戦争における過ちを教訓として生まれた貴重な「遺産」というべきです。憲法にうたわれている平和で自由な社会は私たち一人一人が努力し続けることによって実現されます。いま日本では、憲法の平和主義の理念に手を加えようとしたり、あるいはアメリカの戦争に日本が手を貸そうとするなど、過去の教訓から得た遺産を捨て去ろうとする動きが顕著です。私たちはこのような時代の流れに翻弄されることなく、さらにはこの流れを変えていかなければなりません。戦後半世紀以上を経て、日本が重大な変化の岐路に立ついま、そして、戦争を知る人たちが少なくなっているいまこそ、国内外の戦争体験者の声に耳を傾け、歴史を検証し、また被害者への補償と名誉回復を求めていく必要があるのだと私たちは考えます。

 先日、強制連行と日本軍「慰安婦」に関する重要な最高裁判決がでました。残念ながら被害者への賠償は認められませんでしたが、法廷では戦時中の状況が浮き彫りにされ、公の場で加害の事実が認定されました。また他の戦後補償裁判の判決では、「立法による解決」が待たれているという認識も示されています。このことは、問題の解決には主権者たる市民の力が不可欠であること、問題を一人一人が受け止め、自分たちの意見を言葉に変え、そして行動につなげていかなければならないということを示唆しています。私たちに問われているのは何か、それが改めて突きつけられています。

 第21回目をむかえる今年の「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」は、南京虐殺を生き延びた夏淑琴さんをはじめ、中国から参加者をお迎えします。また、今回はインターネットテレビ電話を使用した集会も企画しています。この方法により生存者に負担をかけず直接に話を伺うことができ、南京の「いま」の空気を伝えていただくことができます。 
 この集会をきっかけに、一人でも多くの人が歴史に目を向け、「いま」を生きるための教訓としていただけるよう働きかけていきたいと思います。みなさまのご賛同とご支援をよろしくお願いいたします。
(呼びかけ人一同)

呼びかけ人

荒井信一  石川 洋  伊勢谷 功 市場淳子  伊藤孝司  岩松繁俊  上杉 聰  内海愛子  大島孝一  岡部伊都子 神坂玲子  郡島恒昭  小山仁示  佐治孝典  繁村和寿子 新屋英子  末川 清  瀬戸内寂聴 平良 修  高嶋伸欣  高橋哲郎  津賀佑元  槌田 劭  長尾憲彰  野田正彰  林えいだい 日高六郎  藤本 治  松野明久  森岡正博  森龍春子  森 正孝  力久隆積  (五〇音順)

「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会」実行委員会・事務局
〒556-0026 大阪市浪速区浪速西2−3−2−608 上杉方
TEL06-6562-7740/FAX06-6562-5272
URL E-mail

【南京からの証言者】

夏淑琴(シャースーチン)さん
 1929年生まれ 南京虐殺の生存者 8歳の時に事件にあい、9人家族のうち7人が殺害された。自身の証言について、日本人の著書の中で「ウソ」呼ばわりされ、中国で2004年に始まった名誉毀損訴訟において勝訴。また日本でも同事案について係争中。

談臻(タンツェン)さん
 1954年生まれ 弁護士 夏淑琴さんが中国で起こした名誉毀損裁判では、夏さんの被害状況について詳細に調査し、弁護活動を行う。また、他にも話題となった事件を数多く手がける。

張連紅(ツァンレンホン)さん
 1966年生まれ 南京師範大学教授 南京大虐殺研究センター主任 中日網(www.sjhistory.net)編集主幹。南京虐殺に関する中国側の研究において、従来の枠組みにとらわれない新しい実証的潮流を代表する研究者。

徐立剛(シーリーカン)さん
 1963年生まれ 江蘇省公文書館研究員 雑誌「档案与建設」編集 「侵華日軍南京大虐殺史研究会」理事 主な論文に「南京大虐殺の前後における寧波滞在欧米居留者の内面世界」(『民国档案』2001年第1期)など。

■インターネットテレビ電話

 インターネットテレビ電話を使用し、南京にいる証言者からリアルタイムで話をうかがいます。会場:東京・盛岡
 また、大阪会場では、朱成山(ジューチュョンシャン)さん(南京大虐殺記念館館長)に発言していただきます。

【証言者(予定)】
倪翠萍(ニーツェイピン)さん
 1926年生まれ 11歳の時に事件にあい、両親や親類が殺害された。本人も左肩に銃弾を受け、障害が残る重傷を負った。

常志強(ツァンツーチャン)さん
 1928年生まれ 9歳で事件にあい、家族のほとんどが殺害された。彼以外で唯一命をとりとめた姉も日本軍から受けた被害が原因となり後に死亡。

◆2007年国内各地の集会◆

■盛岡
【日時】8月11日(土)PM:3:00〜5:00
第18回アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む岩手集会
【証言】倪翠萍さん(インターネットテレビ電話で南京から)
【講演】小野賢二さん(『南京大虐殺を記録した皇軍兵士たち―第十三師団山田支隊兵士の陣中日記』共編者)
【会場】アイーナ 5F501 「盛岡駅」西口から徒歩5分
【主催】岩手・心に刻む会
【問合せ先】TEL&FAX:0193-69-2083(岩間) e-mail

■東京
【日時】8月11日(土) PM1:30〜PM5:00
平和のための証言集会
「日中戦争70年―南京虐殺と日本のいま」
【パネリスト】張連紅さん 笠原十九司さん 丸川哲史さん
【証言】常志強さん(インターネットテレビ電話で南京から)
【会場】東京しごとセンター ホール JR・地下鉄「飯田橋駅」東口から南東に徒歩5分、「ホテルエドモント」となり
【主催】平和のための証言集会実行委員会
【問合せ先】03-3712-5202(谷川)

■姫路
【日時】8月11日(土) PM1:30〜PM4:30
アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会in姫路2007
【ゲスト】夏淑琴さん 談臻さん
【会場】姫路市民会館 第3会議室 JR・山陽電鉄「姫路駅」より徒歩13分
【主催】「心に刻む会」in姫路実行委員会
【問合せ先】079-282-5084(久貝)

■新潟
【日時】8月12日(日)PM2:00〜PM4:30
「日中戦争70年―南京虐殺を考える集会」―共通の歴史認識を求めて―
【講演】張 連紅 (南京師範大学教授)「中国の南京虐殺研究の現在」
【問題提起】児島 俊郎(長岡大学教授)「日本の戦争責任論争について」
【報告】新潟港での中国人強制連行・強制労働裁判 弁護団長
【会場】 新潟市中央区礎町通3ノ町2086番地 クロスパル新潟 4F 映像ホール tel 025-2-2088 参加費: 500円
【主催】「戦争犠牲者を心に刻み、いま平和をつくりだす新潟集会実行委員会」( 代表・石山謙一郎 )
【問合せ先】025-231-9292(高橋)

■長野
【日時】8月12日(日)PM6:30〜PM8:00
第21回心に刻む長野集会−南京虐殺と日本のいま
【ゲスト】談臻さん
【会場】長野市生涯学習センター(TOIGO内)JR「長野駅」より徒歩10分
【主催】集会実行委員会
【問合せ先】090-9819-1995(篠崎)

■高松
【日時】8月12日(日) 午後2時
「心に刻む集会」・四国2007 〜日中戦争70年〜「南京虐殺と日本のいま」
【講演】徐立剛さん 『ラベ・マギーなど欧米人居留者の証言は公正中立、信頼性がある』
【会場】県社会福祉総合センター6F(高松市番町一丁目10番35号) 資料代500円(カンパ歓迎)
【主催】「ゆるすな戦争!香川の会」
「心に刻む集会」四国松山集会実行委員会
「心に刻む集会」四国新居浜集会実行委員会
「アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む会」
【後援】 真宗大谷派四国教区教化委員会/ 日本基督教団四国教区社会部
【問合せ先】 087-834-1533(高松:矢代) / 080-3923-9471(松山・新居浜:坂田)

■京都
【日時】8月13日(月)18:30〜
南京大虐殺を生き延びた少女の「戦争」〜夏淑琴さん・証言の夕べ
【ゲスト】夏淑琴さん
【会場】洛陽協会 講堂(寺町丸太町上ル東側)
【主催】旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画・京都実行委員会
【賛同】女性国際戦犯法廷ハーグ判決を実現する会(ハーグの会)
【問合せ先】TEL 06-6562-7740(「心に刻む会」事務局) FAX 06-6562-5272

■四国(松山・新居浜)
【日時】8月13・14日(詳細未定)
アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む四国集会
【ゲスト】徐立剛さん
【会場】未定
【問合せ先】080-3923-9471(坂田)

■大阪
【日時】8月15日(水) AM10:00〜PM4:30
第21回アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む集会 南京虐殺と日本のいま
【証言】夏淑琴さん 野中広務さん 談臻さん
【シンポジウム】 張連紅さん 吉田裕さん
【会場】ドーンセンター ホール 地下鉄谷町線・京阪「天満橋駅」より徒歩5分
【主催】同集会実行委員会
【問合せ先】TEL:06-6562-7740 FAX:06-6562-5272(「心に刻む集会」事務局)

■千葉
【日時】8月18日(土)PM1:00〜PM5:00
「今なお問われている日本の戦争責任」―戦火を越えた「幸存者」「毒ガス被害者」の
苦難を思う―
【ゲスト】張連紅さん 井堀哲さん
【会場】社団法人千葉県労働者福祉協議会306会議室 モノレール「市役所前」下車東出口徒歩5分/京葉線「千葉みなと駅」下車東方向へ徒歩10分
【主催】戦争責任を考える千葉8月の会
【問合せ先】043-236-3469(木暮)

※各集会についてのお問い合わせは、各地「問合せ先」までお願いします。
また、「心に刻む会」のブログで随時情報を更新いたします。

●ご支援のお願い

 私たちの活動は、個人参加を原則とし、一人ひとりが自発的に集まるゆるやかな性格のものです。すべての費用は、「呼びかけ人」や私たちの活動趣旨に賛同してくださる方々(「賛同人」)のご支援によってまかなわれています。
 集会準備のために、みなさまにご賛同いただき、カンパをお寄せ下さいますようお願い申し上げます。(ご送金の際には下記口座をご利用ください)

郵便振替口座
 00920-1−311116
 加入者名「戦争犠牲者を心に刻む会・事務局」


 
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