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今週の一言

 

9条をなくすことは人類全体の悲劇

2007年7月16日

チャールズ・オーバビーさん(オハイオ大学名誉教授、第九条の会USA創設者)
―――いま進んでいる日本における憲法「改正」の動きをどのようにご覧になっていますか。
(オーバビーさん)
日本国憲法第9条は日本人だけのものではなく、人類全体のものです。それは、男性社会の産物である戦争という恐ろしいゲームを終わらせたいという人類全体の叫びなのだと思います。世界中のたくさんの人々が戦争をなくしたいと望んでいるにも関わらず、日米両政府は軍事力というものが必要だと思っています。日本国憲法が「改正」され、9条がなくなるようなことがあれば、それは人類全体の悲劇です。
安倍政権は9条を変えたがっていますが、アメリカの側には、アメリカが世界各地で仕組んだ戦争に日本の自衛隊をどんどん使っていこう、日本の自衛隊も人殺しに参加させようという意図があるのです。ですから、9条が変えられてしまったら、それは人類全体の悲劇であり、そんなことはあってはならないのです。日本人が世界中でアメリカの戦争に参加するようなことはとんでもありません。そんなことはぜひ防がなければなりません。

―――いま日本国民の中に憲法9条を守れという声が広がっていますが、オーバビーさんはどのように見ていますか。
(オーバビーさん)
 私は10年位前からたびたび日本に来ていますが、10年前の方が憲法「改正」に反対する意見が強かったような気がします。
 最近の日本の若者を見ていますと、「愛国心」というものが育ってきているようで、日本国憲法は押し付けられてできたのだから、変えなければならないという考え方も浸透してきています。日本も「普通の国」になって、アメリカと同じように軍事力を制限なく使えるようにしたいと考える若者も増えているのではないでしょうか。こうした人たちは9条をなくしてしまおうという日本政府の意見に説得されてしまう危険性があるような気がして、とても気になります。自由に軍隊を使える「普通の」国になるという考えを、私は大変悲しんでいます。
 私たちは日本国憲法第9条に関わる日本と世界の世論を変えていかなければなりません。それはとても大変なことです。そのためには「教育」ということが必要になります。私は、日本が9条を守り、それを世界に示すことによってできる効果的なこと、前向きなこと、そのようなことを日本の若者に伝えていく必要があると思っています。日本の政府はそのようなことを知らせませんから、若者は知らないのです。私は以前、私の著書『地球憲法 第九条』で次のように提言しました。こうしたことを伝えていきたいと思います。

1、 予防外交など戦争防止の諸形式についての実験と実践を試みる。
2、 人口増加を押さえる。
3、 持続可能な社会・経済開発を助ける。
4、 世界飢餓と貧困を克服する。
5、 巨大な難民問題に対処する。
6、 人権抑圧の発生を減らす。
7、 核兵器の貯蔵量をゼロに減らす。
8、 通常兵器の輸出入による移転を止める。
9、 非暴力行動と紛争解決の啓蒙を行う。
10、 自己防衛にあたっては、ジーネ・シャープがその『市民ベース防衛:脱軍事用武器システム』で明かしているようなシステムを使う。
11、 天然資源を保護保存し、環境破壊を少なくし、GTBDを設計、製造、マーケティングしていく。

 また、世論を変えていくためには宣伝ということが大事です。私は10億ドルを集め、日本と世界に向かって日本国憲法第9条の素晴らしさを広げる有効なPRをすすめることを提案しています。
 ところで、私が日本国憲法第9条に注目する背景には2つのことがあります。
 1つは、このまま軍備拡大と大量破壊兵器の開発などが進むと、さらに効果的な殺戮方法を科学者・技術者たちが開発し、やがて地球が滅んでしまうということです。私は科学者・技術者ですので、それがわかるのです。日本国憲法第9条はそのような道を拒絶し、別の道を示してくれるのです。
 もう1つは、いま人類が資源の無駄使い=浪費を続け、そのために公害と地球温暖化が進み、地球が滅んでいこうとしていることです。イラク戦争が行なわれているのも石油のためです。最近アフリカでの内戦の報道がありましたが、それは地球温暖化の影響による干ばつが続く中で、水資源を求める争いが武力衝突になったということです。浪費によって地球が火星のようになってしまうことを防ぎ、資源を求めて起こっている戦争をなくしていくためにも9条は意義があるのです。
 私は30年くらい前、1年半ほどアメリカ議会で、科学者・技術者として資源の無駄使い=浪費と公害の調査の仕事をしました。いま科学者・技術者は環境にやさしい技術を真剣に開発し、資源の無駄使い=浪費と公害を防止するための設計段階での工夫をすすめる責任があるのです。

―――アメリカ社会とその人々は日本での憲法「改正」の動きをどの程度知り、どのように考えているのでしょうか。
(オーバビーさん)
 アメリカ人のほとんどは日本の憲法「改正」問題を知りません。先日、日本で憲法「改正」国民投票法が成立しました。私はこのことについての英文情報を探しに大学図書館に行きましたが、手に入りませんでした。アメリカは日本での憲法「改正」を後押ししていますので、国務省や国防総省には英文情報があるはずですが、手に入りませんでした。私は、タイムなどの主なニュース雑誌やニューヨークタイムズなどの主要な新聞を調べました。安倍首相が4月にブッシュ大統領と会見した前後に日米関係をめぐる報道もありましたが、掲載された記事の多くは従軍「慰安婦」の問題でした。この問題自体は重要な問題ですが、アメリカ人の多くは憲法「改正」国民投票法どころか、日本国憲法第9条についてさえ知らないのが現状です。

―――法学館憲法研究所は日本国憲法に関わる英文情報をウェブで発信する活動をすすめています。この活動へのアドバイスをいただければと思います。
(オーバビーさん)
 私は4年前に伊藤真先生にお会いし、そのお考えに感銘を受けました。ウェブでの情報発信の努力も素晴らしいことだと思います。
 ただ、私が立ち上げたウェブにしても皆さんのウェブにしてもまだまだだと言わなければなりません。アメリカは圧倒的な宣伝で大嘘をつきながらイラク戦争をすすめ、日本政府も戦争ができる国になろうと宣伝をすすめています。日本国憲法第9条の意義をもっともっと広げなければなりません。

*このインタビュー記事の英文ページも作成しました。こちらです。ぜひご覧下さい。

◆チャールズ・オーバビーさんのプロフィールはこちら(PDF)


 
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