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キリスト者として非暴力の思想を広げる

2007年7月9日

山本俊正さん(日本キリスト教協議会総幹事・牧師)
―――憲法9条を守ろうというキリスト者のみなさんのご活動は大変活発です。まずは全体的な状況を教えていただけますか。
(山本さん)
 憲法9条はキリスト者にとっても大変重要なものです。1990年代以降、PKO法の制定、日米新ガイドラインに基づく周辺事態法の制定など、日本の戦争準備が進められる情勢の中で、1999年、キリスト者は「平和を実現するキリスト者ネット」を立ち上げました。「キリスト者ネット」は陸海空・港湾20労組を中心とする労働者などとともに、日本の戦争準備に反対しました。また、子どもたちに愛国心を植えつけようとする教科書があらわれてきましたので、それは人間の心情の問題であり、宗教にも関わることとして、私たちは「子どもと教科書全国ネット21」のみなさんとも一緒に運動しました。
 やがて私たちの運動は仏教をはじめとする他の宗教者との連携につながることとなり、2002年には「平和をつくりだす宗教者ネット」ができました。やがてイラク戦争が始まり、自衛隊も派遣されることとなりました。そこで「宗教者ネット」は自衛隊のイラクからの撤退を求める請願署名運動をすすめることになりました。「宗教者ネット」は2003年以降毎月、内閣府に署名を提出し、国会の内外で“祈りの会”という集会を開いてきました。
 2004年には、著名人9人による「九条の会」の呼びかけに応え、私たちも「宗教者九条の和」をつくりました。宗教者にもいろいろな考え方の方がいらっしゃいますので、私たちは“9条を守る”という一点でまとまることにしたところ、大変高名な宗教者の方々も多数賛同してくださいました。
 このようにキリスト者や宗教者の中で9条を守ろうという声が広がってきた背景には、小泉前首相が「自衛隊は軍隊だ」と言い切り、加えて、それを理由に憲法「改正」を唱えるという、それまでは考えられないような動きがありました。日本が戦争への道を進んでいることへの危機感が高まる中で「宗教者九条の和」ができたのです。

―――憲法9条を守ろうという声をあげるキリスト者の皆さんのお気持ちの根底にあるものは何なんでしょうか。
(山本さん)
 憲法9条には非暴力の思想が体現されているのです。非暴力の思想を一人ひとりの個人が持つことはあります。ガンジーがそうでしたし、キリスト教においても新約聖書には明確に非暴力の思想が書かれ、キリスト者はイエスの生き方にならっています。注目すべきは、憲法9条が非暴力の考え方を国家のあり方として定めたことなのです。憲法9条というのは国際的にみたら大変稀有なものかもしれませんが、国家の理想を先駆的に定めたものなのです。

―――9条を守ろうというキリスト者や宗教者の皆さんのとりくみの広がりは山本さんの予想を超えるものだったようですね。
(山本さん)
 はい、「宗教者9条の和」がつくられる時、当初は「聖職者として意思表示しよう」という感じだったのですが、毎年各地で「平和巡礼」を実施するようになり、憲法「改正」のための国民投票法案に反対して国会議員への要請行動や集会も実施しました。私たちの予想を超えてとりくみが広がっています。

―――今度、「9条アジア・宗教者会議」を開催するそうですね。どのような会議なのでしょうか。
(山本さん)
 9条は日本国民のものであると同時に、それはアジアと世界に関わる問題です。私たちは9条に示された非暴力の思想を諸外国にも広げていきたいと思っています。
 加えて、日本は今後アジアの人々を侵略しないという約束として9条があるのだということを、私は強調したいと思います。アジアの人々には戦前日本から大変な被害を受けたという認識が残っていて、日本に対する恐怖心があります。9条はアジアの人々の日本に対する怖いイメージを和らげていますから、9条がなくなったら、それはアジアの人々の恐怖心を煽ることになるのです。そのような問題として、9条のことをアジアの宗教者たちと語り合う場をつくることにしたのです。
 「9条アジア・宗教者会議」は今年11月29日から12月1日にかけて東京で開催します。アジアの宗教者が多く参加してくださる予定です。欧米の宗教者も参加してくださる予定です。キリスト教、仏教の宗教者のほか、イスラム教やヒンズー教の方々も参加してくださる予定です。ぜひ成功させたいと思います。

―――日本国憲法のことを諸外国に広げることは大変重要であり、当研究所もホームページに英文と韓国語のページを設けています。日本キリスト教協議会は靖国問題のパンフレットを英語・韓国語・中文で発行されていますが、これも大変重要なとりくみだと思います。ぜひ今後とも、ともに日本国憲法を諸外国に広げていきたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

◆山本俊正(やまもと としまさ)さんのプロフィール

1977〜85年東京YMCA主事。米国バークレー太平洋神学校留学(神学修士)。米国・合同メソジスト教会・カリフォルニア・パシフィク年会にて按手(正教師)を受ける。1988〜92年ハリス合同メソジスト教会副牧師。1993年同教団派遣宣教師として日本キリスト教協議会(NCC)(http://ncc-j.org/)国際協力担当幹事に就任。2003年NCC総会にて総幹事に選出され、現在に至る。「宗教者九条の和」呼びかけ人世話役。


 
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