法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

今週の一言

 

憲法「改正」は空の安全を脅かす

2007年6月25日

山口宏弥さん(国際線パイロット・航空労組連絡会議長)
―――航空労働者の皆さんは憲法「改正」問題についても積極的に発言されていますが、その問題意識をお聞かせください。
(山口さん)
 これまで幾度となく航空機がテロの標的となり、航空労働者はその犠牲になってきましたので、航空労働者は平和の問題に強い関心を持っています。最近特に民間航空の軍事利用の動きが目立ってきており、憲法が「改正」されたらもっと大変な状況になると感じています。
 たとえば、民間航空の軍需品の輸送についてです。
 国際民間航空条約というものがあります。そこでは一定の制限を受けつつも、民間航空が軍需品の輸送もできることになっています。しかし、日本には憲法9条がありますから、日本の航空法は日本国籍の航空機の軍需品輸送を想定していません。また、条約上の軍需品輸送の適用が除外されています。憲法が変わり、日本に軍隊が創設されると、軍需品の輸送は一気に広がることになるでしょう。民間機の軍事利用などが進められれば、テロやハイジャックの危険が高まり、間違いなく空の安全が危ぶまれる事態になっていきます。

―――実際に米軍の軍需品が民間機に搭載されたが、機長の判断で降ろした事例があったそうですが、その後そのような事例はないのでしょうか。
(山口さん)
 1998年にその事件があったのですが、その後はありません。憲法9条があり、民間機の軍事利用に反対する航空労働者と国民の世論があるからです。
 一方で、自衛隊員の輸送に関わる問題が生じています。
 いま自衛隊員が迷彩服着用のまま定期便に搭乗する事態が生じています。私たちは「戦闘用の迷彩服を着用しての移動は訓練の一部であり、国際民間航空条約が禁止する民間航空機の軍事利用にあたる」として反対しているのですが、強行されています。迷彩服を着用した自衛隊員の搭乗は一般旅客にも不安を与えています。
 日本航空はイラクに派遣された自衛隊員の帰国のためのチャーター便も派遣しました。これも多国籍軍の一員の輸送であり、民間航空の軍事輸送として許されません。
 ただ、これも、さすがにイラクへの自衛隊員の派遣の際の輸送はできませんでしたし、帰国の際の輸送も極秘で行なわれました。政府・防衛庁も自衛隊員の民間機による輸送については航空労働者や国民の批判意見を意識せざるを得ないのです。

―――日本の民間機を米軍の後方支援として利用しようとする動きもあるようですね。
(山口さん)
 周辺事態法が成立した後、米国国防総省から防衛施設庁を通して民間航空三社に米軍輸送資格取得の要請がありました。しかし、私たちが「米軍の起こす戦争に巻き込まれ空の安全を脅かす」と反対し、会社としても受け入れませんでした。ただ、依然として日本の民間機を米軍の作戦行動に組み込む動きは止まっていません。

―――自民党の新憲法草案のように憲法が「改正」された時に決定的に変わることとして、どのようなことが考えられますか。
(山口さん)
 周辺事態法ができ、そして国民保護法ができることによって、民間機の軍事利用が進んできていますが、それはあくまで政府が航空会社に対する要請となっています。ところが、自民党の新憲法草案のような憲法に「改正」されると、個々の従業員に対して義務が課せられるようになります。その違いは決定的だと思います。

―――民間航空の軍事利用をめぐっては、まさに「せめぎ合い」の状況が続いているということですよね。憲法「改正」はそうした状況に決定的な影響を及ぼすということだと思います。
(山口さん)
 私は憲法「改正」問題にはとことん取り組みたいと思っています。
 パイロットには自衛隊出身の人が多いんですが、その人たちの多くは自衛隊の海外派遣に反対なんです。ちょっと意外だったんですが、専守防衛を教育されてきた人たちなので、海外で日本が戦争をすることには結構違和感を感じているんです。私たち航空労組連は中立系の産業別労働組合による憲法改悪反対労組連絡会(憲法労組連)に結集して憲法改悪反対1千万署名運動をすすめることにしました。ぜひ頑張っていきたいと思います。

―――山口さんのお話は、憲法「改正」が日本社会と私たちの生活にどのように影響するかを具体的にイメージさせてくれます。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。


航空労組連絡会のURLは次の通りです。
http://jfau.phenix.or.jp/

7月4日(水)、『戦争をしない国 日本』出版記念イベントを開催し、山口宏弥さんにも当日語っていただきます。多くの方々のご来場をお待ちしています。
山口宏弥さんにはこの本の中の「航空労働者と労働組合は憲法にどう向き合ってきたか」を執筆しておられますので、ご案内します。

(法学館憲法研究所事務局)


 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]