法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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今週の一言

 

憲法を広く市民、消費者の中に

2007年6月11日

永井伸二郎さん(生活協同組合さいたまコープ)
 私の勤務する生活協同組合さいたまコープでは、今年、憲法全文が掲載されている「憲法クリアファイル」と同じく憲法全文をなぞって書くことができる「なぞって書く日本国憲法」を作成し、広く生協の組合員や地域の皆さんに普及する取り組みを行っています。

「憲法全文ファイル」と「なぞって書く日本国憲法」

 ご承知のように生活協同組合は「一人は万人のために 万人は一人のために、平和とよりより生活のために」をスローガンに全世界にひろがっており、日本国内で約1,500万人が加入する国内最大の消費者組織です。日常的には、食料品を中心に店舗や配達事業を行っていますが、生協を定義すると「協同組合は共同で所有し民主的に管理する事業体を通じ、共通の経済的、社会的、文化的ニーズと願いを満たすために自発的に手を結んだ人々の自治的な組織」となっています。(1995年国際協同組合同盟のアイデンティティに関する声明)
 さいたまコープは、埼玉県内で73万の組合員が加入し、店舗事業や配達事業、共済、福祉などの事業とともに、組合員自身が自主的、自発的に、地域での福祉たすけあい、環境、子育て応援、平和、ユニセフなどの様々な活動を行っています。
 毎年くらしを守る活動については重点テーマを決めて取り組んでいます。昨年は「消費者被害と多重債務問題」について、県内の弁護士の皆さんと協力し学習会に取り組み、現実に「出資法の上限金利の引き下げ」という国の法律を動かす一つの力になったことを実感することができました。

■憲法をまず知ろう!知ってもらおう!
 組合員リーダーの中で、今年のテーマについて検討する中で、今年は憲法施行60年、そして参議院選挙で「憲法改正を争点にする」という首相の発言、国民投票法案の動きなどから、憲法をテーマにしてみようとなりました。ただ、生協は様々な考えの方が加入している「開かれた組織」ですので、世論が別れている憲法の問題は難しいテーマで、どのような取り組みをおこなうかが課題でした。
 その中で、くらしに大きな影響を及ぼす憲法を自分たちがどれだけ知っているのだろうかということで、「とにかくまず憲法を知ろう」、「多くの組合員に知ってもらおう」、「その上で一人一人に判断をしてもらう」、そのことを大切にしていこうということで取り組みが始まりました。
 学習資料としては、北海道の生協が作っていた「憲法全文ファイル」と石川県の病院で作っていた「なぞって書く日本国憲法」をそれぞれご厚意で参考にさせていただき、それぞれ1万枚と3000部作成し、普及をしています。

■マスコミでも反響!
 取り組むからには「話題性を」ということで、5月3日の憲法記念日に県内53の生協の店舗で「憲法ファイル」を先着で無料配布をすること、あわせて「なぞって書く日本国憲法」を200円の募金(平和とくらしを守る募金=広島・長崎・沖縄への派遣などに活用)で普及ことを決めました。前日には朝日新聞の「社会面」に掲載され、当日早朝のフジテレビのニュースでも現物が紹介されるなど、大きな話題になり、お店の開店前から人が並ぶお店もありました。引き続き、組合員向けの広報誌での案内を継続しています。

■憲法を知ったら広げたい!
 また、生協に働く職員や中心の組合員がまず憲法を知ろうということで、憲法記念日の前日5月2日に伊藤真先生を招いての講演会をおこないました。当日は150名の職員と20名の組合員のリーダーが参加し、「憲法と法律との根本的な違い」「自民党新憲法草案との関係での平和の問題」、「憲法を尊重し擁護する義務は誰か」、「個人の尊重の大切さ」など、まさに「目からウロコ」で、参加した職員、組合員が改めて現在の憲法の素晴らしさ、価値について確信をもち、講演終了後も「興奮さめやらず」の状態でした。
 現在、7月から9月にかけて県内5ヵ所で伊藤先生を呼んでの生協の組合員向け学習会を講演会に参加した組合員が自主的に計画しています。また、夏休みに親子で学ぶ憲法講座を開催するなど工夫をこらした取り組みが始まっています。
 私自身憲法というと生協の組合員の中に広めるのが難しいという気持がありましたが、生協の組合員の皆さんの「憲法のことを知ったからにはみんなにお知らせしなければ」という信念とパワーそして柔軟な発想には、驚きの連続です。
 こんな取り組みの積み重ねが、最終的に憲法改正の動きが出てきた時の「キャスティングボード」のひとつになる予感もしています。

■憲法の価値と生協のめざすもの
 さいたまコープも加わる首都圏の生協の連合、コープネット事業連合グループが昨年統一の理念・ビジョンを確認しました。

 理念 「COOP ともにはぐくむ くらしと未来」

 ビジョン 「私たちは、一人ひとりが手をとりあって、一つひとつのくらしの願いを実現します。私たちは、ものと心の豊かさが調和し、安心してくらせるまちづくりに貢献します。私たちは、人と自然が共生する社会と平和な未来を追求します」

 先日の伊藤先生の講演を聞くにつけ、現在の憲法9条(戦争放棄)、13条(個人の尊重)、24条(両性の平等)、25条(生存権)、など憲法の基本的な価値と生協がめざしているものの共通性を感じています。更に、現在の憲法があるからこそ、生協という組織が育ってきたことを強く感じています。
 今を生きる私たちの責任という個人の立場と、憲法の価値の中で育ってきた生協という組織として、一人でも多くの消費者、市民に憲法をお知らせしていきたいと思っています。

◆永井伸二郎(ながいしんじろう)さんのプロフィール

生活協同組合さいたまコープ 総合企画専務補佐

「憲法ファイル」「なぞって書く日本国憲法」のお問い合わせは
さいたまコープ広報まで 電話 048-839-2711


 
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