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憲法漫談「地球のすみずみに憲法の花を」

2007年4月9日

小林康二さん(社会派お笑い集団「笑工房」代表)

―――小林さんは笑工房という笑集団を作り、暴力やいじめの笑いに反対し、全国に「励ましの笑い」を届ける活動をしておられますが、まずは、そのような活動をはじめた動機からお聞かせ下さい。
(小林さん)
厚生労働省によりますと、男性の場合60歳で定年を迎えた後の平均余命は23年ありますが、これは誕生から成人式を迎えるよりも長い年月です。この間「少しは人に必要とされる晩年を送りたい」との思いから、老後の遊び半分の軽い気持ちで「笑工房」を立ち上げたのですが、これが大当たりし3年後には全国119人の出資で株式会社になりました。もともと私は、吉本新喜劇のように、人をいじめ、辱めて笑わせる「お笑い」を苦々しく思っていました。幼児期からあのような笑いをテレビで見続けて育ちますと、人をいじめ、辱めても何の違和感も抵抗感もない、むしろ知らずしらずの間にそれを快感とする人間になってしまうのです。寅さん・チャップリン・藤山寛美のような庶民を励ます笑いをもう一度大阪からとの思いで笑工房を立ち上げました。

―――実際に笑工房を立ち上げて、活発な活動をされているようですね。
(小林さん)
笑工房の主力は12名の落語作家です。彼らが現在社会の諸問題を台本に仕上げます。これに20人近い芸人が得意のテーマを演じます。ですから作品はすべて笑工房オリジナルで、全国各地の学校・PTA・労働組合等の市民団体から年間300回前後の出演依頼があり、全国各地から山のような感想文・礼状・感謝状が寄せられているように、大変喜ばれており、確かな手ごたえを感じております。
また、芸人の中には落語家・笑福亭鶴笑のように、我々が作った環境落語「不思議の星のアリス」で、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞し、引き続いて文化庁の文化交流使第1号としてロンドンに赴任し、そのままロンドンで活躍している芸人もおり、芸人も笑工房の仕事には誇りを持ってくれています。

―――今度は、笑工房を母体に「NPO法人国境なき芸能団」を設立し、海外活動も始めたそうですね。
(小林さん)
「地上に平和を、人々に笑顔を」を合言葉に、笑工房が母体となって昨年9月に「NPO法人国境なき芸能団」を設立し、日本だけでなく世界に「励ましの笑い」を届ける活動を開始することになりました。今年3月27日から4月2日まで、51年前に政府の移民政策でドミニカ共和国にわたって大変苦労された邦人の方々を激励し、お世話になった現地の人々にも喜んでもらえる笑いを届けようと、ドミニカ共和国に行きました。邦人の方々を対象に2公演、現地の学校・老人ホーム・小児科病院等で8公演を行い、それはそれは大好評で、現地の日本大使館からも大変感謝されました。
私たちは、この公演を通じて、自衛隊の海外派兵より励ましのお笑いを派遣する方が、よほど現地の人々に喜んでいただけ、大きな国際貢献ができると確信しました。これからも力の限り世界中に励ましの笑いを届け、各国の人々との友好を広げていく決意です。
そのために一人でも多くの皆さんが「国境なき芸能団」の会員になっていただきたい。

―――笑工房が作られた憲法9条「改正」反対漫談「地球のすみずみに憲法の花を」が大ヒットしているそうですが・・・。
(小林さん)
そうです、いまこの漫談が最もヒットしています。漫談家が憲法9条だけでなく前文も完全に暗記して語り、笑いながら現行憲法の大切さを訴えますが、良い漫談に仕上がっています。
話が戻りますが、ドミニカ共和国で250人の中・高校生を前に、私が、日本は世界に先駆けて憲法で「戦争を放棄し、戦力を持たない」ことを決めた国だと説明しますと、大きな拍手が起こりました。世界では日本のことはほとんど知られていません。こうした活動を通じて平和を愛する日本国民の心を世界に届けることの大切さも学びました。

―――憲法「改正」といった硬いテーマで笑いを作ることは大変難しいでしょうね?
(小林さん)
私たち「社会派の笑い」はギャグだけの笑いでは薄っぺらな笑いに流れて説得力がありません。事実に裏打ちされた笑いが必要で、そのためには現実の調査・研究が何よりも大切です。この作業は芸人だけでは無理で、専門的知識をもった作家が必要です。
例えば、日本は明治以降の70数年間に海外で7回の戦争をし、たくさんの人々を犠牲にしましたが、現行憲法が制定された後の60年間は1回の戦争もしていない、一人の人間も殺さず死なせていません。憲法漫談でこの現実を語り、憲法が「改正」されると、人々の生活がどのように変わるのかを、少しオーバーで面白く伝えることで、9条の大切さが笑いながらストンと腹に落ちるのです。ここに笑いの力・文化の力があるのです。

―――最後に、憲法「改正」問題で皆さんに伝えたいことをお聞かせください。
(小林さん)
 いくら反対しても結局、憲法「改正」は強行されてしまうだろうという人がいますが、私はそうは思いません。法律の「改正」と憲法の「改正」は根本的に違うのです。法「改正」は国会で多数派を握れば強行できます。確かに今の国会では憲法「改正」も「改正派」が多数ですが、憲法の「改正」には国民投票が必要です。「改正はやむをえない」と考えている国民一人ひとりに戦前・戦後の事実を語り、「あなたは日本が戦前のような国になってもいいのですか」と、オセロの一つひとつをひっくり返すように働きかけていけば、必ずわかってくれます。我々が自信を持たなければなりません。
そればかりか、この闘いを通じて、生活・人権・平和を守る運動の巻き返しの大きな流れを作り出せると、私は確信しています。
この問題では平和を願う多くの皆さんと一緒に頑張りたいと思っています。

―――多くの人々の励みになるようなお話をしていただき、本当にありがとうございました。

◆小林康二(こばやしやすじ)さんのプロフィール

中学校卒業と同時に鉄工所に入社、24歳で労働組合専従職に就任。1994年、54歳で組合専従職を退任し、シナリオ学校に入学。1998年、笑工房を設立して代表に就任。2001年に笑工房は株式会社になり、代表に就任。現在に至る。
現在、関西演芸作家協会会員。落語作家。
また、2006年にはNPO法人国境なき芸能団を設立し、事務局長に就任。
著書に『地球のすみずみに元気の出る笑いを』(浪速社)がある。


 
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