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「君が代不起立」!

2007年3月12日
松原明さん・佐々木有美さん(「君が代不起立」制作者)
―――「君が代不起立」は学校現場での国歌・国旗の強制に抗する人々の姿をえがいていると思います。この作品をつくるきっかけや問題意識をお聞かせください。
(佐々木さん)
中学校教員の根津公子さんが学校の卒業式での君が代斉唱の際に起立せず、1ヶ月の停職処分を受けました。根津さんはその1ヶ月間、毎日学校の門前に立ち、「間違っていることには命令でも従えない」と訴えることにしたんです。ぜひその姿を映像に残し、この問題の重要性を社会に伝えたいと思いました。

(松原さん)
私たちは以前、国鉄労働者に対する弾圧とそれに抗するたたかいをテーマにした「人らしく生きよう−国労冬物語」というドキュメンタリーをつくったんですが、教育の現場も国鉄の現場とまったく同じような労働者への弾圧が進んでおり、ぜひ作品にしたいと思いました。

―――この映画で訴えたかったことはどういうことでしょうか。
(松原さん)
この作品は根津さんの生き様を浮き彫りにすることによって、今日の教育現場での国歌・国旗の強制の理不尽さを伝えたいと思いました。根津さんは弾圧に屈しない強靭な人というより、実におとなしい方なんです。そのような人物の行動には胸を打つものがあります。ただ、私は単なるヒューマン・ドキュメンタリーにするのではなく、憲法や教育基本法を変える動きや国民の自由を奪おうという日本社会の状況と背景もわかるような作品にしました。

―――この問題は現場で激しく対峙している問題であり、制作にあたっては様々なご苦労もあったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(松原さん)
根津さんは毎日学校の校門のところで生徒さんたちにあいさつし、声をかけていました。そうしたら、根津さんは勇気をもって正しいことを主張していると、生徒の中には根津さんに元気づけられたり、逆に根津さんを激励する子も増えました。そのようなシーンも作品では映したんですが、映画の中で映すのは勘弁して欲しいというお話もいくつかありました。
自分たちの主張を通そうと子どもたちを利用するのはけしからん、という声も周囲から若干聞こえてきましたから、最終的にはいろいろなことに配慮したものにしました。

―――映画の上映が始まり、反響はどうでしょうか。
(佐々木さん)
根津さんの教え子である、国際基督教大学の学生さんがこの作品を友人に見せたいといって、大学の中で上映会を開いてくれました。そうしたらたくさんの学生が参加してくれました。学生たちは学校現場で国歌・国旗が強制されている様子をほとんど知らされていませんから、その現実に大変驚きました。そして多くの学生が、そのような状況の中で処分に屈せずにたたかっている根津さんへの共感を感じてくれたようです。教員志望の学生が学校現場の大変さにたじろぐのではなく、ますます教師になりたくなった!と語ってくれたことに根津さんも感激していました。
(松原さん)
いま上映会は各地で広がってきています。予想以上です。全国で、まさに草の根的に、自発的にいろいろな方々が上映会を開いてくださっています。

―――国歌・国旗の強制は許されませんが、これにどのように立ち向かうかについてはいろいろな意見もあるのではないでしょうか。学校現場の声をお聞かせください。
(松原さん)
教育委員会は卒業式等での国歌斉唱の際の教職員の「不起立」は処分すると言っていますので、これに教職員全体がどう対応するかは悩ましい状況です。したがって、根津さんが「不起立」を貫く意義を評価しつつも、このドキュメンタリーはその行動をクローズアップしすぎているという批判意見もありました。ただ、私はいま、いろいろな問題に対して一人ひとりがどのように考え行動するかが問われる時代になっていると思っています。日本人は戦後、民主主義というものを与えられましたが、それを自分たちのものとして活かしていく努力に欠けていたように思います。いま一人ひとりから出発して、一人ひとりが考え行動し、民主主義というものをつくりあげていく必要があると思うんです。この映画はこのようなメッセージも込めてつくりました。この映画はみんなでそのようなディスカッションをしてもらうための素材にしていただきたいと思っています。

―――国歌・国旗の強制は憲法「改正」の動きとも密接に関連していると思います。憲法についてのお考えを最後にお聞かせください。
(佐々木さん)
日本国憲法は主権在民を唱えましたが、第1条に象徴天皇制が規定されました。これは明らかに矛盾だと思います。この矛盾が今日の日本社会の様々な歪みを招いている一因だと思います。この矛盾を克服し、本当に主権在民の社会にしていく必要があると思っています。
(松原さん)
根津さんや私は戦後まもなく生まれましたので、親から戦争の経験などを聞き、反戦意識・民主主義意識を強くもつようになった世代です。日本国憲法というのは、そのような私たちの考え方の骨になるものでした。ただ、私たちはその考え方を十分に社会に根づかせきれずにきました。いまからでもなんとか後世に伝えていきたいと思います。

―――本当に今日の日本社会の歪みは異常だと思います。あらためて憲法とその理念を学び考えながら、今後とも「一人ひとり」から頑張っていきたいと思います。どうもありがとうございました。


◆松原明(まつばらあきら)さんのプロフィール

自主制作ビデオプロダクション「ビデオプレス」代表。
1989年、「ビデオプレス」を設立。人権・環境などをテーマに制作活動を続けている。2000年に「人らしく生きよう−国労冬物語」を発表、2001年11月には劇場公開。また自主メディアのネットワークづくりを行っており、民衆のメディア連絡会・VIDEO ACT!などに積極的に参加している。レイバーネット日本の副代表も務める。

◆佐々木有美(ささきゆみ)さんのプロフィール

「ビデオプレス」で「人らしく生きよう−国労冬物語」を松原明さんとともに共同監督を務め、引き続き「君が代不起立」を制作。


 
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