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中国社会の変革を展望して

2007年2月5日

班忠義さん(映画「蓋山西(ガイサンシー)とその姉妹たち」監督)
―――映画「蓋山西(ガイサンシー)とその姉妹たち」は旧日本軍による中国人女性たちへの性暴力の実態を映すものとして、日本の戦争責任を告発しています。同時にそれは、中国の人々に対しても問題提起するものになっている気がします。監督のお考えをお聞かせください。
(班忠義さん)
中国の映画は劇映画が中心で、ドキュメンタリーは多くありません。しかも多様な観点からつくられたものはあまりありません。私は、中国においても具体的な事実を映し出すドキュメンタリーが必要であり、ぜひ後世にも残したいと思っています。また、性暴力被害というテーマを扱ったドキュメンタリーも少なく、そこで今回の映画をつくりました。
「蓋山西(ガイサンシー)とその姉妹たち」は昨年雲南や北京、香港でも上映しましたが、中国人からも大きな反響が寄せられました。事実をよく掘り下げているという評価をいただきました。雲南の大学生の皆さんは映画に出てくる被害女性のために自主的に募金集めをしてくれました。

―――監督は中国社会が今後大きく変わっていくという展望をいろいろなところで語っておられます。この映画もそのような問題意識の中から生まれたのではないでしょうか。
(班忠義さん)
いま、中国で一層の民主化が求められています。市場経済が導入される中で富裕階層が生まれ、自由を求める動きが広がっています。政府も法治社会化を進めています。もちろん、これまでの支配層は従来の支配体制を維持していきたいと考えているようですが、民主化が直線的に進んでいるわけではありません。言論の自由や結社の自由などへの制限もされています。しかし、私は中国の民主化は時間の問題だと思っています。
中国の農村では土地をめぐるトラブルも増え、農民の生活はいまなお苦しいし、各地での自然環境破壊も問題です。できるだけ早く社会の改革と民主化が必要です。このように考える若い知識人も増えているようです。

―――監督の問題意識は中国社会の中でどのくらい共有されているのでしょうか。いろいろとご苦労も多いのではないかと思いますが、いかがですか。
(班忠義さん)
中国社会の改革と民主化は避けられませんが、必ずしもその土壌が成熟しているわけではありません。
私はこの映画の本を中国で出版しました。新聞に書評なども掲載してもらいましたが、内容が独特だと評価されましたが、決して肯定的な評価ではありませんでした。本や映画などについての内容審査もあるときいています。日本にはある程度民主主義の基盤がありますが、私のような考え方をする人はそう多くありません。

―――そのような状況の中での監督の仕事は本当に価値のあることだと思います。「蓋山西(ガイサンシー)とその姉妹たち」を通して監督が訴えたいことをお聞かせください。
(班忠義さん)
私は何よりも事実をそのまま映し、伝えていきたいと思ってこの映画もつくりました。そして、登場する人物一人ひとりの具体的な姿と思いを映し出そうと思いました。人間誰一人同じ人間はいないのであり、一人ひとりに着目することが大事だと思っています。
私はこの映画を通して、過去の事実を正確に知ってもらいたいと思います。この映画は人間とは何なのかを考える機会にもなると思いますし、そうしていただきたいと思います。

―――最後に監督の日本国憲法についてのお考えをお聞かせください。また日本人に訴えたいことをお聞かせください。
(班忠義さん)
日本国憲法の9条は人間の崇高な心によって成り立っています。人間としてこのように生きたいという理想が表現されています。
国が違うと人々の考え方もいろいろです。私も中国から日本に留学して戸惑うこともありました。しかし、人間はそれをとりまく文化によって変わります。私は多くの素晴らしい日本人に出会うことによって、いまのような考え方をするようになりました。国が違うということで人間は憎み合ってはなりません。

―――監督のお話は多くの日本人にお知らせしたいと思います。本日はありがとうございました。

◆班忠義(バン・チュンイ)さんのプロフィール

作家・映画監督
1958年中国遼寧省撫順市生まれ。1982年黒竜江大学日本語学部卒業。1992年中国残留日本婦人の人生を描いた、『曾おばさんの海』で第7回朝日ジャーナルノンフィクション大賞受賞。1996年『近くて遠い祖国』ゆまに書房出版。2000年ドキュメンタリー映画『チョンおばさんのクニ』日本や台湾で上映。2005年日中戦争の旧日本軍による性暴力被害者についての調査を『蓋山西(ガイサンシー)と彼女の姉妹たち』というドキュメンタリー映画にまとめ、中国、香港で上映。

「蓋山西(ガイサンシー)とその姉妹たち」
公式サイトはこちら
2月17日(土)には東京で完成披露上映会+記念シンポジウムが開催される。


 
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