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障害者も個人として尊重される社会へ
〜映画「筆子・その愛ー天使のピアノ」の願い

2007年1月8日

山田火砂子さん(映画「筆子・その愛ー天使のピアノ」監督)
―――映画「筆子・その愛ー天使のピアノ」は日本最初の障害者施設「滝乃川学園」の創設に人生をささげた石井筆子の半生を描いたものですが、山田さんがこの映画をつくられた想いをお聞かせください。
(山田さん)
まだまだ社会には障害者に対する差別意識が残っています。私自身にも障害者の娘がおりますので、痛感しています。石井筆子という人は障害を持つ子を産み育てながら、障害児・者の施設づくりに身を捧げました。その苦労を重ねた壮絶な人生を知り、ぜひ社会に伝えたいと思いました。
この映画には障害児の子どもたちにも出演してもらいました。私は試写会で映画を観てくださった方々の様子を観て、別の試写会でのあいさつで次のようなことを言ってしまいました。
「障害者の映画だからって、くすりとも笑わず畏まって構えて見られるのはいや。面白い場面では大いに笑ってください。知的障害者の子が演じているからと、笑える場面でも笑わないのは逆差別です!!」
少し言い過ぎたかもしれませんが、障害児・障害者も同じ人間なのであり、基本的には健常者と同じように接して欲しいと思うんです。
「滝乃川学園」で学んだ子どもの詩に次のようなものがありました。

・・・
イツモ タノシク ベンキョウシタリ
タノシク アソブ ワタクシヨ
ワタシハ ホントニ ホガラカヨ。

私はこの詩を読んで、障害を持った子どもたちの純真さに感動し、そしてこの映画をつくることを決心しました。障害を持った子どもたちも誰もが朗らかに生きる社会にしていきたいと思っています。


―――この映画には多くの障害児・者の方々が映画に出演し、また多くの障害者団体の協力も得られたようですね。障害児・者の皆さんが元気になったのではないでしょうか。
(山田さん)
私は映画に出演した障害児の子どもたちにある程度自由に演じてもらいました。そうしたら思いがけない演技が飛び出すなど、結果的に大変よかったと思っています。そして、とても嬉しかったのが、障害児のお父さん・お母さんたちの言葉でした。多くのお父さん・お母さんが“映画に出て、子どもが明るくなった”と言ってくださいました。障害者団体の協力の輪も広がりました。全国各地から多くの障害児・者がエキストラとして出演してくれました。出演していただいた俳優・加藤剛さんや評論家の秋山ちえ子さんもよい映画だと言ってくださっています。

―――この映画は福祉の重要性とともに戦争の悲惨さも描いているように思いますが、いかがでしょうか。
(山田さん)
それは当初からの私の問題意識でした。私自身も戦時中に生き、戦争の恐ろしさを知っています。私は打ち上げ花火を見ると戦時中の空襲のことを思い出し、涙が出てくるんです。ですから、ぜひこの映画では戦争の恐ろしさ・悲惨さも伝えたいと思いました。筆子が教え子を戦場に送り出すシーンも映しました。試写会で映画を観た方がこの場面でも涙されています。
私は、特に、戦争になると、まず障害者を始めとする弱者が悲惨な思いをするのだということを伝えたいと思いました。そのことを障害児・者、そのお父さん・お母さんには知って欲しいと思っています。

―――この映画は、「個人の尊厳」、福祉、平和など日本国憲法の理念に関連するテーマの映画だと思います。いま憲法「改正」の動きが進んでいますが、山田さんはどのようにお考えですか。
(山田さん)
日本はだんだんおかしな国になってきていると思います。年金を削り、高齢者の福祉を後退させ、とんでもない状況になってきています。ところが、国民の中にはまだまだ「お上」にすがる傾向があります。また、お金が全てだと考える風潮、また自分とその家族のことしか考えない風潮も根強いと思います。そのような中で、政府の福祉政策も、それはたしかに明治時代よりはよくなっているのでしょうが、当事者にお金が少しばら撒かれているだけ、という印象を拭いきれません。
一方で、北朝鮮の脅威が煽られ、憲法を変えて軍隊を持つ国にされようとしています。私は二度と戦争を起こしてはならないと思いますので、平和の大切さはずっと唱えつづけていこうと思います。

―――映画「筆子・その愛ー天使のピアノ」はぜひ多くの人々に観てもらい、福祉や平和について考えていきたいと思います。本日はありがとうございました。

◆山田火砂子(やまだひさこ)さんのプロフィール

戦後女性バンドで活躍後、舞台女優を経て、映画プロデューサーに。実写版の「はだしのゲン」、「春男の翔んだ空」、「裸の大将放浪記」など数多くの映画を製作・公開。
初の監督作品はアニメ映画「エンジェルがとんだ日」。「石井のおとうさんありがとう」は2005年度日本児童福祉文化賞を受賞。
著書に「トマトが咲いた」などがある。
映画「筆子・その愛ー天使のピアノ」の公式ホームページはこちら


 
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