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子どもたちに正しい歴史認識を!

2006年7月24日

増田都子さん(元中学校教員)

私は千代田区立九段中学校の社会科教員でしたが、授業で「ノ・ムヒョン大統領3・1演説」を教材に使い、「つくる会」教科書、侵略否定妄言都議を批判したことがきっかけで、東京都教育委員会により、この3月31日付で分限免職となりました(鎌田慧さんが「週刊金曜日」5月12日号「痛憤の現場を歩く」に、斎藤貴男さんが雑誌「創」6月号「『非国民』のすすめ」に、それぞれ私のことを取り上げてくださっています)。こうした都教委による教育基本法第10条違反の教育への「不当な支配」=東京の教育における「茶色の朝」は1997年の「足立十六中事件」から始まっていたのです。

1997年3月の足立十二中の卒業式で、しっかりと、かつての日本の侵略と植民地支配の歴史、戦争責任、憲法の理念・原則を教えられた卒業生たちが、『国歌斉唱』時に不起立をしました。これは、卒業生たちが自主的にしたことなので、教育委は私を処分したくとも、当時は、そのための『制度』がなく、私を処分できませんでした。そこで、土屋たかゆき・古賀俊昭都議らがこの『制度不備』を都議会で問題にし、後に『日の君・不起立処分・強制研修制度』が作り上げられたのです。

当時、ちょうど異動期に当たっていた私は、4月に足立十六中に異動となりました。その一学期に、中二地理「沖縄県」の授業で米軍基地を取り上げたところ、初めて米軍基地被害を知った生徒たちから米軍に対する批判が多かったということで、ある母親から「反米偏向教育」と攻撃を受けたのです。彼女が、自分の娘を私の社会科の授業だけボイコットさせるという手段をとったこともあり、彼女の娘は友人関係が壊れていき、不登校・転校という不幸な結果になりました。都教委は、この「事件」を利用して「職務命令違反」などと処分をかけてきました。

当時、私は、@一部の保護者、A保身ばかりを考えている校長・教頭、B都(区)教委、C土屋たかゆきら保守都議、D産経新聞、E職務命令について、文書はおろか、口頭ですら校長は言わなかったにもかかわらず「校長の指示は職務命令に相当する。よって命令違反での処分は合法」などと信じられない判決を書くような官僚裁判官(口に出して言われてもいないことを「職務命令」と認識できますか?)・・・の中で、断固として闘ってきました(この事件については字数の制限上、拙著『教育を破壊するのは誰だ! ドキュメント東京・足立十六中事件』(社会評論社)を参照ください)。

さて、上記弾圧の中で、2回の減給処分と2年7ヶ月にわたる長期隔離研修をさせられましたが、私は屈せず2002年4月に千代田区立九段中に復帰しました。そして2005年8月30日「戒告処分」、9月1日「長期研修処分」で学校現場から追放され、東京都教職員研修センターという常時監視付きのラーゲリで「研修」を強要され、本年3月31日、帰宅したら、郵便受けに「分限免職」という文書が都教委職員によって投げ込まれていたわけです。

私は、去年6月、公民的分野学習の一環として、同年の「ノ・ムヒョン大統領3・1演説」を教材に取り上げ、生徒達に手紙や意見を書かせ、私も手紙を書いて発表し合う紙上討論授業をしました。このプリント教材を読んだ皇国史観をもつ当時の九段中PTA副会長の保護者が、都教委にこれを「偏向教育」として送付したのです。

都教委は私の手紙にあった以下の文面に飛びつきました。
『04年10月26日、古賀俊昭という都議会議員(自民党)は言っています。「(我が国の)侵略戦争云々というのは、私は、全く当たらないと思います。じゃ、日本は一体どこを、いつ侵略したのかという、どこを、いつ、どの国を侵略したかということを具体的に一度聞いてみたいというふうに思います。(カッコ内は増田)」(文教委員会議事録)などと、国際的には恥を晒すことでしかない歴史認識を得々として嬉々として披露しているのが我が日本国の首都の議会なのです。横山洋吉教育長以下、東京都教育委員会は、これに対し何の反論もしませんでした。というより、大いに共鳴しているのでしょう。侵略の正当化教科書として歴史偽造で有名な扶桑社の歴史教科書を「生徒たちに我が国に対する愛国心を持たせる一番良い教科書」などと公言して恥じない人たちですから。』

これが「特定の公人名を挙げ」「特定の出版社名を挙げ」ているから「不適切」で「地方公務員法で禁じる信用失墜行為」であるから「戒告処分」「長期研修処分」に値すると都教委は主張します。私は研修センターでの強要された課題レポートなるものに常に「誤った歴史認識に対しては批判することを教えた私は正しい。誤っているのは、これを処分した都教委である。都教委こそ反省し、改善することを要する。」と論証しました。結果「処分に対し反省も改善も見られないから公務員に不適格」と、免職処分となったのです。

しかし、私は中学校社会科教員として当然の職責を果たしただけですから、この免職は教育基本法10条を蹂躙する違法行為であることは明白で、日本が法治国家であるなら無効のはずです! 教え子達も同僚も私が「不適格教員」などではないことを知っていますので、私には臆するところは全くありません。今春訪韓した時は、政府関係者からノ大統領の「勇気のある先生に会いたいと思いますけど、今は、日本との国家関係が微妙な時期なので会うことはできません。いつか会いましょう。関心を持っていますので頑張ってください」というメッセージを伝えられています。

正しい歴史認識を子どもたちに学ばせまいとする、こんな極度に違法な免職処分を許すことが許されるでしょうか。今後、裁判闘争など考えられるあらゆる手段を用いて闘っていきます! 


 
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