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靖国問題を通して平和主義を考える 〜 映画「あんにょん・サヨナラ」

2006年7月10日

加藤久美子さん(「あんにょん・サヨナラ」共同監督)

―――首相の靖国神社への参拝は日本国憲法の政教分離に関わる重要な問題ですが、靖国神社の問題を考える上で映画「あんにょん・サヨナラ」は多くの方々に観てもらいたい映画だと思っています。まず、この映画の内容をご紹介ください。

(加藤さん)
イ・ヒジャさんのお父さんは、朝鮮半島が日本に占領されていた時代に日本軍に徴用され、中国で戦病死し、靖国神社に合祀されています。イ・ヒジャさんはそのことを1997年に知り、お父さんが日本の軍国主義の象徴である靖国神社に合祀されていることに怒り、靖国神社にも申し入れに行きますが、相手にされませんでした。合祀の取り下げを求めて日本の裁判所にも訴えています。(映画の中では出てきませんが、5月25日にはイ・ヒジャさんたち在韓遺族の戦後補償を求めた裁判の判決がありましたが、原告側の全面敗訴となりました。)イ・ヒジャさんは、この裁判を支援する日本人、古川さんに出会います。そして、彼女の父が亡くなった中国へと共に旅することになります。またイ・ヒジャさんは多くの日本の支援者に出会っていき、彼女の中にあった日本人に対する不信感が次第に溶けていきます。「あんにょん」にはハングルで「こんにちは」と「さようなら」の2つの意味があります。「対立と争いよ サヨナラ。和解と未来よ こんにちは」というメッセージがこめられた映画です。

―――「あんにょん・サヨナラ」を韓国と日本で上映してみて、いろいろな反響があるようですね。

(加藤さん)
はい。韓国で観ていただいた方からは、日本にも過去の侵略戦争を反省し、韓国と日本の真の友好関係を求める人がいることがわかったという声をいただいています。韓国では、日本の首相の靖国参拝や閣僚の歴史認識発言や竹島の報道が続き、日本に対する不信感を持っている人が多いと思うので、この映画が市民同士の友好関係を広げることにつながればと思っています。日本の方々からは靖国神社には韓国の人たちも合祀されているのだと知り、驚いたという感想をいただいています。私はこの映画に関わる時に、特に若い人たちに歴史の事実を知ってほしいと思いましたので、嬉しく思っています。韓国や中国の人たちは反日意識が強いとマスコミなどで伝えられますが、具体的になぜなのかはあまり伝わっていません。このようなことを多くの人びとに考えてもらうきっかけになればと思っています。

―――日本国憲法の平和主義が定められた背景には二度と戦争をしないという日本人全体の合意があったのであり、その歴史的経緯を理解する上で重要ですよね。
ところで、加藤さんは憲法については、どのようなお考えを持っていますか。

(加藤さん)
韓国などのアジアの人たちは一応、日本を信用しているとは思いますが、それは憲法9条があるからで、二度と戦争をしないということが日本の最大の戦後補償だと思います。日本が9条をなくしてしまったら、周辺国から信用されなくなるのではないでしょうか。
私は広島の出身で戦争被害の経験を聞いてきました。そして、フィリピンや韓国の人たちとも交流するなかで、9条の意義をこのように考えるようになりました。

―――ありがとうございました。多くの人たちに「あんにょん・サヨナラ」を観ていただき、平和主義など憲法の考え方を広げていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

◆加藤久美子(かとうくみこ)さんのプロフィール

ドキュメンタリー制作者。「あんにょん・サヨナラ」共同監督
フィリピンの元「慰安婦」をテーマにした『あなたは14歳の時何をしていたのですか?』、「9・11」以降の暴力と日本の自衛隊のイラク派遣への疑問を投げかけた『どこへ?』、『No War on Iraq』、『60年の悲しみ 〜浮島丸事件と靖国合祀』制作。

*「あんにょん・サヨナラ」は7月8日から東京・ポレポレ東中野でロードショーが始まりました。公式ホームページはこちら


 
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