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にんげんをかえせ 〜 核廃絶を歌う

2006年1月9日


横井久美子さん(シンガーソングライター)

―――横井さんは広島・長崎での原爆被爆者の原爆症認定を求める人々を支援し、「にんげんをかえせ」を歌い、そのCDの普及を通して核廃絶と訴えています。その経緯と思いをお聞かせください。
(横井さん)
原爆投下から60年たつ今も、原爆症と認められずに苦しんでいる人がたくさんいます。その人たちが高齢を迎え、病苦に苛まれながら、原爆症認定を求める集団訴訟をすすめています。私は2005年3月にその訴訟を闘っている人たちを歌で励まして欲しいと、集会に招かれました。私は何を歌えばよいのか悩みましたが、峠三吉の詩「にんげんをかえせ」を「Amazing Grace」のメロディにのせて歌いました。弁護団の方々からはぜひCDにして普及して欲しいと言われました。それで定価(1,000円)のうち500円を訴訟支援にしようとCD製作を決意したのです。

「にんげんをかえせ」

峠三吉

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ
 
わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ


7月に出来上がったCDは半年で約7000枚普及されました。いろいろな新聞社から取材を受け、記事を掲載していただいたことが大きかったと思います。発売されてからの反響も大きく、1ヶ月で1万件近いメールや手紙をいただきました。生徒に聞かせたいという教師の方々もたくさんおられ、82歳になる元教師の方は街の町長さんや県会議員などに、一人で100枚普及してくださいました。本当に多くの人々が、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちを持っていることを再確認することができました。
中には「原爆症の問題って、どこの国のこと?」という疑問を持たれた方もいらっしゃいました。その方は、広島・長崎の原爆被害者はみな日本政府による被害補償を受けているものと思い込んでいたようです。まだまだそのような方も少なくないのだと思います。その方に、実は多くの被害者が原爆症の認定を受けていないと話をしましたら、それはおかしいと理解してくださいました。現在、28万人の生存被爆者のうち、原爆症と国から認定を受けている人は、たった2000人です。

―――横井さんはこれまでも平和を訴える歌を数多く歌っておられますが、どのような思いで歌ってこられたのですか。
(横井さん)
枯葉剤は、すでに第二次世界大戦の時にアメリカが日本に対して使うために準備していました。原爆を投下して、日本の降伏が早まったので、使わなかったのです。それがベトナム戦争の時に撒かれました。私は以前からベトナムの子どもたちと交流しているのですが、ベトナムには枯葉剤による被害者が300万人もいるといわれています。二世代、三世代にわたって被害が発生しています。ベトナム戦争を知る世代の者として、ベトナムともう一度向かい会いたいと思いました。戦争でベトナムは勝ったけれど、その戦争の被害を見つめることが私たちの世代の責任だと思ったのです。
私は「未来へ輝き隊」というグループと一緒に、11月に「人類は二度と戦争をするな!」といいメッセージライブを開催しました。枯葉剤の被害と原爆の被害を、戦争をしたらこんなに恐ろしい被害が二世代、三世代に渡って起こるということをメッセージしたかったのです。大成功に終わり、「このテーマで、都心のホールに1000人も集めるなんてすごいね」と、皆さんから言われました。その秘密は、「未来へ輝き隊」の一人一人が「戦争をしてないけない!」と、このメッセージライブをコツコツと広げてくれたからです。そして、その行動が社会的貢献に繋がることに喜びをに感じてくれたからです。

―――歌を通しての訴えは心に響くものがありますよね。
(横井さん)
私は人の心に訴え、行動を起す力になるのは、人間の感性だと思っています。私は現在の改憲の動きを大変危惧しているのですが、11月のコンサートではそのことを直接表現しませんでした。でも、歌とともに映像や当事者の証言などを組み合わせることによって、参加者みんなと、二度と戦争をするなという思いを共有することができました。

―――横井さんは長い期間、社会性のある歌を数多く歌ってこられました。いろいろなご苦労もあったかと思いますが、最後に、横井さんの活動のポリシーをお聞かせいただけませんか。
(横井さん)
1970年代にフォークソングがブームなりました。かつて音楽はプロのものと考えられていましたが、音楽を民衆が自分たちのものにしていく契機になったと思います。ところが、その後、そのように一人一人の民衆が仲間とともに語り合うような雰囲気がだんだんなくなり、平和な社会をつくっていこうという運動も押さえ込まれてきたように感じます。
しかし、私は、私たちの考えが主流でありメジャーだと思っています。戦争で夫や息子が傷つき死ぬのを喜ぶ人は誰もいないからです。どうしてそんなに楽天的かというと、私は、世界や日本の各地の現場に出かけ、「戦争はいや!」という声を肌身で感じているからです。いつも現場に立って人々の声を聞いていれば、国会の状況がどうであれ、マスメディアがどうであれ、私たちの声、平和を願う声が主流と確信をもって言えるのではないでしょうか。
―――元気の出るお話をしていただき、ありがとうございました。今後とも憲法の理念を広げ、戦争のない社会をつくっていくために、ともに頑張りたいと思います。

◆横井久美子(よこいくみこ)さんのプロフィール

国内をはじめ、ベトナム、アイルランド等を訪問し、世界各地の歌を日本に紹介してきた。女性・母親の視点で社会を直視し、人生の途上で出会うさまざまな出来事を幅広く歌にしている。
2004年にはベトナムでの枯葉剤被害児救援コンサートなど全国16ヵ所で記念コンサートを開催し、1万人近い人々の共感を得た。
2005年5月、ベトナム政府より「国際平和友好勲章」を授与。2005年6月、「ノーベル平和賞を1000人の女性に贈るための委員会」より推薦を受け、「1000人」の一人にノミネイトされる。

CD 
「にんげんをかえせ」(2005年)
「VIVA KUMIKO」35周年記念6枚組(2003年)
「おなじ空おなじ子ども」(2001年)
「アイルランドの風に吹かれて」(2000年)
「横井久美子ホーチミン94」(1994年)
「夫へのバラード」(1993年)
「私の愛した街私の愛した人 横井久美子10年をうたう」(1979年)

著書
「歌って愛して」(2004年)35周年記念ソング&エッセイ
「ゆるゆるふっくり」(2002年)3年間連載した東京新聞「本音のコラム」を編集、出版。
「ただの私に戻る旅」(1995年)私の愛した街―自転車でゆくアイルランド
「雑踏 歌 そして私」(1982年)

横井久美子ホームページ
「にんげんをかえせ」ホームページ


 
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