法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

今週の一言

 

立川反戦ビラ弾圧・ 控訴審闘争へ

2005年9月26日
大洞俊之さん(立川反戦ビラ弾圧被告団)
立川反戦ビラ裁判って?

 最初にこの事件の概要を、メールニュースにいつも添付されている「概要」を転載して説明しておこう。

 立川反戦ビラ弾圧とは?=04年2月27日、立川自衛隊監視テント村のメンバー3名が、立川市内の防衛庁集合住宅への反戦ビラ投函を「住居侵入罪」にでっちあげられて逮捕され、起訴された弾圧。75日の長期勾留と八王子地裁での裁判を経て、04年12月一審では無罪を獲得。検察は控訴、高裁で審理中。
 
 事件そのものは判決が全国紙の一面トップで大きく扱われたせいもあり、多くの人々に知られるところとなった。また、TBSのニュース23では「それから七五日」のコーナーで一〇分の特集記事を組んだ。現在もテレビ朝日のサンデープロジェクトのスタッフが取材にしばしば訪れていて、この秋にも番組がオンエアされるものと思われる。
 マスコミの反響ばかりではない。救援会では判決後、控訴審をにらみながら2/27集会(逮捕から一年目)、9/3控訴審闘争勝利決起集会を開催してきたが、それぞれ一二〇名、九〇名の参加があり、時間が経っても関心が下がったと言う感じはない。救援会のニュース発送数は新規カンパが寄せられるたびにじりじり増加しており、新聞などの取材も断続的に入ってきている。
 その理由は一つには我々の裁判ばかりではなく、他に似た事件が次々に起きているためでもあると言える。
 
頻発するビラまきへの弾圧

 自衛隊の宿舎にイラク派兵反対のビラを入れた行為が住居侵入罪に(立川自衛隊宿舎反戦ビラ弾圧事件)、マンションの郵便受けに議会報告を入れた行為が住居侵入罪に(葛飾マンションビラ配布弾圧事件)、休日に職場とは関係のない地域で政党ビラを配布した行為が国家公務員法違反に(国公法弾圧・堀越事件)、卒業式開始前にビラを配布した行為が威力業務妨害として(板橋高校威力業務妨害弾圧事件)、それぞれが逮捕されたうえで訴追された。
 これらの事件については、4/6集会「これって犯罪?―暴走する公安と脅かされる言論社会」が4弁護団共催で行われるなど、それぞれの弾圧に対する闘いは連携を強化されてきている。
 これだけではない。起訴までは行かないまでも、この3月町田と葛飾の高校卒業式で、日の丸君が代の押しつけに抗議するビラまき中にやはり建造物侵入罪を使った弾圧が起きている。幸い、いずれも早期に釈放されたが、高校の門前での情宣行動にもかかわらず、建造物侵入罪を適用するとはメチャクチャな弾圧である。
 しかし、こうした「微罪弾圧」はいきなり始まったものではない。一〇年前のオウム真理教事件では別件逮捕など、盛んに利用された弾圧だ。集合住宅へのオウム真理教のチラシまきが立川・葛飾事件同様に弾圧された例は相当の件数にのぼる。この当時はその種の弾圧はすべて不起訴であったが、抗議の声はさほど大きくはならなかった。オウム真理教の地下鉄サリン事件などへの批判が大きくなる中で、警察の乱暴な捜査拡大への反対の声はなかなか大きくならなかった。
 新左翼党派などへの弾圧でも同様の手口は使われていたが、これらが市民運動へ利用される可能性についてはあまり危機感がなかったという印象がある。
 しかしイラク戦争とイラクへの自衛隊派兵という動きの中で、さらに広範な市民運動、反戦運動や国家の政策に批判的なすべての動きを封じ込めようと言う弾圧が開始されたわけだ。ここであげた四事件は、罪名こそ違え、弾圧された行為がすべてビラ入れ・ビラまきの類であることに注意する必要がある。
 ポスティングなどの行為は、商業行為でも広く行われているが、労働運動・市民運動などジャンルを問わず比較的安価で確実に情報を伝達する手段としてあらゆる団体が行っている。それを牽制し、萎縮させる効果がその弾圧の一つの目標なのである。
 また、ガサ入れや長期勾留で被逮捕者の経済的な生活を破壊したり、様々な情報を得ることも、そのねらいである。
 葛飾の事件も立川の事件もポスティング一般が、すべてのチラシが迷惑だったと検察側は言う。しかし、実際に弾圧されたのは小泉政権に批判的な政党活動家や、反戦団体のみなのである。また、今は総選挙で保守的な政党のチラシもマンションなどに広く配られている。そうした保守政党や隊員募集のポスティングを行う自衛隊が逮捕された、などと言う話は聞いたことがないし、今後とも絶対に起こらないはずだ。
 ところで本来、夏までには控訴審が始まっていたはずだが、検察側の控訴趣意書が大幅に遅れたため開始が秋になってしまった。裁判というのはつくづく時間がかかるものである。この夏〜秋にやったことをざっと紹介する。

全国各地に出前集会

 6月には仙台・盛岡、7月に入ってからは名古屋・岐阜・三重、大分・福岡、横浜と全国各地をまわって報告する行動が引き続いている。秋には浜松・関西・松本などで実施予定だ。
 救援会のこうした大胆な活動は全国からの暖かい支援で支えられている。

9月3日(土)の決起集会

 国分寺労政会館で、小田中聰樹さん(専修大学教授、東北大学名誉教授・刑事法学)の講演を中心に ビデオ上映(逮捕〜2/27集会など)なども行われ、多彩な集会となった。他事件でも国公法弾圧の堀越さんも参加して発言してくれた。
 ところで、もともとこの集会は立川商工会議所会議室の予定だったが、不当にも電話での仮予約から二週間近く経ってから、「政治的集会はご遠慮願いたい」と断ってきたというハプニングも起きた。抗議の申し入れも行ったのだが、申し入れの受け取り自体を商工会は拒否し。その後、7月9日に東京平和委員会の基地問題シンポジウムが同会場で行われていたことがわかり、反戦ビラ弾圧への選別差別による会場貸し出し拒否ではないかと思われる。さらに公開質問状も出したが、これも今のところ何の返事もない。立川商工会の態度が一連のビラ入れ弾圧と相関関係のあるものかは今のところ分からない。 

第一回控訴審

 9月14日、立川反戦ビラ弾圧裁判控訴審の第一回公判が行われた。公判に先立ち、地裁高裁前で十二時から情宣。五百枚のチラシをまききった。地裁の前は翌日の鉄建公団訴訟の判決を控え、座り込みも。遺棄毒ガス訴訟など大きな裁判もあって、終日周辺は賑やかであった。
 情宣終了後、6月20日に続き二回目の無罪判決要求署名提出行動が行われた。前回分と合わせ今回で一四一八二筆に署名は達した。
 公判では傍聴希望に公安刑事と思われる連中も三〇名以上が並ぶ。セキュリティチェックをパスする口から中へ入って行ったので、間違いないと思われるが、五〇名程度しか傍聴できないのにこれは明らかな嫌がらせではないか。桜田門が近く動員しやすいのかも知れないが、これは何とかしたい不当な妨害だ。
 公判ではまず検察、弁護側が意見を述べるが、検察側は控訴趣意書とここ二年ほどで警視庁管内でポスティングが住居侵入などで有罪とされた判例七件を証拠申請。認められた。多くは罰金刑だが、最高は懲役刑(執行猶予付き)まである。大半はピンクチラシのようで外国人が多い。だが、内容は被告氏名などが消去された状態のためそれぞれの事件全体が調べにくくなっている。外国人の不法入国など摘発のために利用された可能性もあるが、詳細がわからない。ピンクチラシでもこうした取り締まり方自体が大いに問題ではあるが、基本的には反戦ビラ事件とは関係がない判例である。次回公判で弁護側からまとまった反論を行う予定だ。検察側からは出張内容は提出した趣意書などの通り、ということで弁論はなかった。
 弁護側からは証人申請(名古屋大の憲法学者・浦部法穂さん、小池清彦さん・加茂市長)を提出したが却下。被告人の意見陳述と被告人質問は採用された。
 弁護側からは控訴趣意書にたいする全面的な反論が三〇分かけて行われた。全体としてかなり厚い答弁書が提出されていたのだが、それを虎頭弁護士が要約したものを読み上げた。そもそも控訴趣意書の方は一九ページあっても、半分近くが原判決や判例の引用で内容は極めて薄い。
 一審ではテント村の活動を「過激派」「テロ」に結びつけようとして検察側は失敗した。今回はそれに懲りてか、そういう主張を一切出さず、「テント村の活動を知らないから不安だったのだ」という切り替えを行ってきた。知っても知らなくても不安だという。矛盾した逃げの論法なのである。
 その後は被告人質問へ。それぞれ、イラク戦争と本弾圧の関係、全国ツアーを行った時の地方での感想、職場や地域で無罪判決がどう受け止められたかについて一〇分ほどの質問と答弁がそれぞれ行われた。
 しかし、またしても検察側の反対尋問はなし。これについて、見方は二つある。一つ考えられるのは、この事件は八王子地検がしくじった事件であり、高検は尻ぬぐいさせられている、どうなってもかまわないという投げやりの態度で、やる気がないという見方。
 もう一つは、高裁は検察の味方であり、放っておいても有罪判決が出るからこのまま下手な手出しはしないでいい、と楽観視しているという見方。実際、中川裁判官相手では洋書センター弾圧など公安事件で煮え湯を飲まされた口も多いらしい。
 楽観は許されないが、次回公判まで全力を尽くしていきたいと思う。
 夜は弁護士会館で報告集会が行われ、五〇名近い人々が参加。八時の時間ぎりぎりまで活発な質疑が続いた。

 次回10月3日の第二回公判で結審の可能性が極めて高い。公安の妨害を許さず、傍聴参加を訴えたい。

◆大洞俊之さんのプロフィール

大洞俊之さん(立川反戦ビラ弾圧被告団)の個人サイトはこちら



 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]