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今週の一言

 

大人も子どもも憲法とともに生きている

2005年6月6日
飯田岳志さん(保育士)

“大きくなったら○○になりたい” 未来に夢や希望を描きながら子どもたちに大きく育ってほしいと願っています。
そのためには、国や自治体、地域の大人が子どもたちの成長をあらゆる面からサポートする必要があります。
しかし、保育現場の現状は決して満足のいくものではなく、どんどん悪化するばかりです。
いま、企業における労働者の労働形態・条件の変化=不安定な雇用やサービス残業など、徹底した合理化のもとで、多くの親たちは生きるために必死になっています。その影響は直接子どもたちの保育時間へとつながっています。夕暮れが深まる夜7時前、息を切らして閉園時間ギリギリに保育園へ飛び込んできた親の姿が見えると、うれしさから勢いよく親の胸にぶつかっていく子ども。そして家に帰った子が翌朝7時過ぎに、まだ寝ぼけた顔で目をこすりながら、抱きかかえられて登園。それが毎日。開園から閉園まで12時間近く園で生活する子どもがいるのです。だからより良い保育、安心して生活できる環境を保障しなくては! 親はもちろんのこと、保育士も必死になって頑張っています。
しかし、小泉首相が打ち出した「構造改革」は、規制緩和の名のもとに、福祉・保育の公的責任の縮小・廃止、市場化を制度面から押し進めています。「待機児ゼロ作戦」、聞こえはよいが、実際は定員以上に子どもを保育園に詰め込む「定員外入所」や、子どもの成長を金儲けの対象にする「企業の保育所経営参入」など、国が責任を持つべき保育制度をどんどん切り崩し、手を引いていこうとしています。
また、国・自治体が打ち出す支援と言えば、長時間保育をはじめとして親のニーズにこたえる子育てこそだて支援ばかり、子どもがのびのびと生活する施設や安心して子どもをまかせられる保育者の数、そのための予算など子どものための子育ちこそだち支援には目を向けていないのが現状です。

<子どもたちが見て感じる憲法>

子どもたちの生きる権利や願いは誰が守るのか? 憲法13条や25条で謳われている幸福権の追求や生存権、国の社会的使命は誰が保障するのか? それは私たち大人に任せられた大切な役割だと思います。
保育園で生活する子どもたちは憲法の存在を知らないでしょう。だからと言って憲法を呪文のように教える必要はありません。子どもたちが大きくなった時に憲法のことを気づいてもらえるよう、大人の姿から何かを感じとってもらえるようにしていきたいと思います。子どもたちは大人の背中を見つめて成長します。いつまでも子どもたちの視線を感じる大人でありたいと思っています。
「9・11」米同時爆破テロ事件の直後、日本のマスコミはビルに激突する飛行機の映像を繰り返して流し、子どもたちの目に焼き付けました。保育園の部屋でレゴブロックで遊んでいた男の子たち、細く高く積み上げたブロック2本に飛行機をぶつけて、「ヒュー、ドォーン、もう死んだで」の言葉。その後も繰り返された、アフガニスタンの空爆やイラク攻撃の映像は、子どもたちの目にどう映り、何を感じたのでしょうか? 戦争を子どもたちの身近なものにしてはいけません。戦争はすべてを破壊します。夢も希望も、大人も子どもの生命までもすべてを破壊します。
憲法9条を変えようとする動きも子どもたちの未来・生活に大きく関わる問題です。“誰もが幸せに暮らしたい”“平和でなければ福祉・保育は守れない”―――子どもたちの願いを感じ、受け止められる現場で働く大人として、私たちは平和問題を保育に関わる重要なこととして運動を続けてきました。

私たちは地域の労働組合員や保育園の保護者と協力して千羽鶴を織るとりくみなどをすすめ、毎年8月におこなわれる広島・長崎の原水爆禁止世界大会に代表団送り出しています。また、保育園の夏祭りにも平和スペースを設けて原水爆禁止世界大会の報告を受け、親子で平和を考え、語ってもらう機会を設けてきました。地域の労働組合と協力して休憩時間や土曜日に街角に出向き、有事法案や憲法改悪のこと、劣化ウラン弾のことなど平和に関わる情勢や問題、私たち保育者の願いをマイクやパネルで表現し訴えてきました。買い物途中の保護者や子どもたち、そして大きくなった卒園児からは、「あっ!! ○○先生や」「何してんのん?」「頑張ってください」と応援を受けて、地元地域での運動の広がりも感じられました。RUN PEACE RUN「チャリンコ平和宣伝」は、職場、年齢に関係なく多くの仲間が集まりました。それぞれの自転車に写真パネルやメッセージボードをくくりつけ、おそろいのカラーTシャツに色とりどりのパッチワークで描いた「平和に向って走ろう」「戦争と核兵器をなくそう」の言葉を一文字づつ背中に輝かせて、「広島・長崎をくり返すな」など伝言ゲームのように前から後ろへ、後ろから前へとひとりづつが自分の声を出してアピール。「ヤングマン」の替え歌「K・E・N・P・O」も歌って踊っています。
こうした活動を定期的に続ける中で、街の人にも宣伝が定着しつつあります。また、自分達でアイデアを出し合って平和を訴える行動をすることは楽しいことだと感じています。この運動がまわりの人たちが関心を持つキッカケになってくれればと思います。



<走り続けてニューヨークへ = NPT再検討会議要請代表団に参加>

「核兵器をなくしたい」 この願いは世界の圧倒的多数の声として広がり続けています。
「子どもたちの育つ世界に、戦争・核兵器はいらない」「子どもたちが大きくなったとき、平和を願う大人であってほしい」 私たちはそんな思いから、世界が注目するNPT再検討会議への要請代表団に代表を派遣する運動を起こしました。地域の人たちとともにつくったピースメッセージや小学生たちの平和の絵やメッセージをたずさえ、ニューヨークへ行ってきました。要請団には多くの被爆者の方々が参加され、海外の人たちへ戦争の体験談や核兵器の悲惨さを語ってくださいました。日本国憲法9条は世界中が「平和の宝」としていますが、私には二度と戦争を繰り返してはならないという被爆者の方々が語られた言葉の一つひとつが憲法9条だと感じました。「今年は被爆60周年。被爆者の多くは70周年を迎えることができないだろう」私はこの言葉に重い責任を感じました。
海外の方々は口をそろえて「日本は核兵器廃絶の世界的な流れの中で重要な役割を担っている」と言われました。一人一人が平和について語る、未来の世界とともに、過去の歴史にも目を向けて語る責任が私たちに託されているように感じました。自分の言葉で、自分の行動で、平和の願いを表現し続けていこうとあらためて思い、保育士として、二児の子を持つ父親として、子どもたちに伝えていきたいと思います。

◆飯田岳志(いいだたけし)さんのプロフィール

京都府宇治市のくりくま保育園(民間)で働く男性保育士。働き出して6年目で今年26歳。全国福祉保育労働組合京都地本くりくま分会の平和部担当。


 
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