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「ガラスのうさぎ」に戦争の悲惨さを学ぶ

2005年5月9日
四分一節子さん(映画「ガラスのうさぎ」監督)
―――長編アニメ映画「ガラスのうさぎ」は戦争の悲惨さを伝えながら、戦争をくりかえしてはならないというメッセージに溢れたものですが、この映画をつくった監督の思いをお聞かせください。
(四分一さん)
亡くなった私の父は戦前を生きていましたので、戦争ぬきに自分の人生は語れないと言っていました。私自身は戦争を経験することなく生きてきたのですが、戦争状態のイラクに日本の自衛隊が派遣=派兵され、いままた日本も戦争と無縁でない状況になってきている。92歳になる母もよく戦争の話をしてくれるんですが、戦争のことを語れる人もだんだんいなくなってきている。日本がアメリカと戦争をしたことを知らない子ども達もいる。なんとか戦争の悲惨さを語り継いでいきたいという思いのなかで、「ガラスのうさぎ」の製作を担当することになりました。

―――製作にあたって工夫したことなどお聞かせください。
(四分一さん)
この作品をアニメーション映画にしたいということで、観てくださる方々の年齢層がとても広くなったと思います。ですから、60年前のこの時代を知っている方が観てもうなずいていただけるように、時代背景もキチンと描きたいと思いました。同時に、多くの子ども達に観てもらう映画ですので、子ども達にわかりやすく、あきずに観てもらうことが必要でした。そう考えたとき、戦争の時代をどうあらわすのかを色々と考えさせられました。
たとえば、戦時中は学生も戦争に駆り出されましたが、学生の中には欧米の文学を読んでいて、視野を広く持っていた人もたくさんいたと思います。そういう人が戦地に赴くにあたっては大変矛盾した気持ちを持っていたのではないか? また、この映画の中に出てくる母親は戦争に反対する気持ちがあったのですが、にもかかわらずなぜその子ども達が勇んで戦争にいこうとしたのか? 純粋な気持ちで軍国少年・少女となっていた多くの子ども達が戦後どのように気持ちを切り替えたのか?・・・このようなことを私なりに理解し表現するために、当時の多くの体験記などで勉強しました。

―――そのように製作してみて、新たに考えるようになったことはありますか?
(四分一さん)
一つは戦争の恐ろしさです。特に戦争が人間を変えることの恐ろしさです。この映画の主人公のお父さんはアメリカの戦闘機に撃たれて亡くなりました。戦争では兵士が見も知らない人を殺すんです。意味のない殺し合いをするんです。戦争被害の悲惨さとともに、戦争が人間を変えてしまうことの恐ろしさを強く感じました。
もう一つは日本国憲法の意義です。この映画をつくってみて、戦後60年間日本が基本的に戦争に関わらなかったのは憲法9条のおかげだとつくづく思いました。
実は、それまで私は憲法制定時に当時の文部省が「新しい憲法のはなし」という副読本をつくっていたことを知りませんでした。この副読本のことを知ったときはびっくりしました。涙が出るくらい感動しました。そして、戦争放棄の意味の説明としてなんてやさしい文章なのだろう、おそらくこれが当時の子ども達を大きく励ましたのだろうと感激しました。「ガラスのうさぎ」の原作でもそれを「太陽の喜び」と表現されていましたので、映画でも「新しい憲法のはなし」を強調しました。

―――映画の評判はいかがですか。
(四分一さん)
戦争を体験された方々から「映画を観て涙が出てきた」という声を多くいただいています。ご自分の戦争体験とダブるところがあるようで、タイムトリップされているようです。そんな評価をいただくことができ、本当に嬉しく思います。これから各地で映画が上映されますので、ぜひ戦争を体験された方々にお孫さんなどと一緒に観ていただきたいと思います。

―――憲法「改正」の動きをどう思いますか。
(四分一さん)
憲法を変えることは自分の子ども達の未来に大きな影響を及ぼすことだと思います。したがって、ぜひとも市民一人ひとりによく考えていただきたいと強く思います。この映画は過去の話の映画ですが、イラクへの自衛隊の派遣や憲法「改正」の動きなど今日の日本社会の問題と深く関わるものだと思います。ぜひこの映画も私たちの将来を考える素材にしていただきたいと思います。

―――本日はありがとうございました。今後とも平和や憲法についてご一緒に考え、行動していきたいと思います。

*映画「ガラスのうさぎ」は5月14日から東京・池袋のシネ・リーブル池袋モーニング」などで上映されます。詳しくは、http://www.ggvp.net/usagi/

◆四分一節子(しぶいち せつこ)さんのプロフィール

アニメーターとして活躍後、アニメ・プロダクション「(株)マジックバス」の設立に参加。現在は演出家、キャラクターデザイナーとして活躍。
主な作品歴として、テレビスペシャル「アニメ版・男はつらいよ」(TBS系列)監督、テレビシリーズ「とっとこハム太郎」(テレビ東京系列)絵コンテ、OVAシリーズ「うる星やつら」監督・キャラクターデザイン、劇場作品「もも子、かえるの歌がきこえるよ。」監督・キャラクターデザイン、など多数。


 
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