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憲法25条を活かし、人の命と健康を大事にする社会へ

2005年4月18日
三村真理子さん(日本医療労働組合連合青年協議会議長)
聞き手:事務局
━ 三村さんは医療従事者、とりわけ若い皆さんに憲法とその理念を広げる活動をすすめておられますが、その内容や動機をお聞かせください。
(三村さん)
いま医労連(日本医療労働組合連合)として憲法のリーフレットを作成中です。憲法って以外に私たちの生活や仕事に密着しているということをみんなに伝えたいと思っています。
私は看護師ですが、以前は憲法って難しいし、堅苦しいし、身近でないと感じていて、ほとんど無関心だったんです。労働組合の活動をしているうちに憲法を学ぶ機会が増え、そうしたら日本国憲法って読めば読むほど素晴らしい、その内容が実現されたら日本は本当に素晴らしい国になるだろうと展望を感じるようになったんです。

━ では憲法の理念は医療現場においてはどのようになっているのかをお聞かせください。

9、25、28・・・何の数字かな?
憲法の重要条文を列挙
(三村さん)
いま健康保険の本人負担が増え、なかなか患者さんが病院に行けなくなっています。医療費のあいつぐ負担増で、受診を控えたり、治療を中断したりする人が増えているんです。不況やリストラの影響も受け、国民保険では461万世帯が保険料を滞納し、国民年金の未加入者も6割と増えています。その結果、人びとは病気やけがが軽い段階では病院に行かない。薬も飲まない。重症化してしまって仕方なく病院に行くことになるんですが、それでは手遅れになってしまったりする。また、介護も保険料は取られるのに利用料が高くて受けられない人もいます。一方、病院の側も経営が苦しく、患者さんに入院してもらってじっくり治療するようなことが難しくなっている。患者さんの命と健康を守ろうと理想と意欲をもって看護師など医療従事者になっても、医療事故を起こさないように仕事するのが精一杯で、ゆっくり患者さんに関わるなどなかなか思うような仕事ができない状況です。「いつでも、どこでも、だれでも安心して医療や介護がうけられる」ことが社会保障の基本であり、国の責任だと思います。お金のある人だけしか医療や介護が受けられないとなると、ひとりひとりが大切にされる世の中でなくなってしまうと思います。憲法25条が本当に活かされる社会にしないといけないと思うんです。
いま憲法9条を変え、日本を戦争のできる国にし、国民に戦争への協力をさせようという動きがあることも問題だと思っています。私が所属している赤十字病院日本赤十字社は有事法制と国民保護法上の指定公共機関になっています。戦争になったら看護師は兵士の看護もすることになるんですが、兵士が元気を回復したら、その兵士はまた人殺しをすることになるんです。かつての戦争では、軍医や従軍看護婦として多くの医療労働者が戦地に送られました。重症者や歩けない兵士を置き去りにしたり注射で「処分(殺すこと)」したり、捕虜にした兵士や現地の人に生体実験や生体解剖をしたという話しを聞きました。また、国内では、医師は6万7千人(1941年)から1万1千人(1944年)に、看護婦は15万人から3万人に激減し、入院していた患者さんの多くが追い出され、ベッドが軍隊に占拠されました。この他にも、朝鮮戦争やベトナム戦争の時には、日本の血液(献血)が戦地に送られ、国連軍の兵士の治療に使われました。地域の医療が守れないばかりか、患者さんの命を大事にする仕事をする看護師が戦争=人殺しに加担することになってしまうわけで、これも重大だと思っています。

━ 三村さんが憲法について関心を寄せるようになった具体的なきっかけはありますか。
(三村さん)
ある講演会で講師の弁護士さんが、憲法を守らなければならないのは国民なのではなく政府や公務員なのだ、という話をされたんですが、私はそのお話にすっごく感動したんです。それまでは憲法もほかの法律と同じように国民が守らなければいけないルールだと思っていたんですが、憲法は国民の人権を守るために政府や公務員を縛るものだというお話を聞いたときは目からウロコでした。そう理解して日本国憲法の各条文を読んでみると、これは本当に素晴らしい憲法なんだと思うようになったんです。

━ 憲法とその理念を広げるために、今後はどのようなことをしていく予定ですか。
(三村さん)
実は赤十字病院や血液センターに就職した人たちに配るパンフレットを作ったんですが、その表紙に25条だとか、9条だとか、28条だとか、憲法の重要な条文の数字を散りばめました。普通、25、9、28・・・と数字が並んでいても何のことだかわからないんですが、「何の数字かな?」って聞かれたときには話題になるし、またそうしたいと思ったんです。
まずはみんなに知らせ、話題にしていくしかないと思います。その際に、自分の言葉で憲法を語っていくことが大事だと思っています。まだまだ勉強不足なんですが、ぜひ勉強していきたいと思います。

━ どうもありがとうございました。ぜひご一緒に憲法とその理念を学び社会に広げていきたいと思います。

◆三村真理子(みむら・まりこ)さんのプロフィール

松江赤十字病院看護師。1999年から全日本赤十字労働組合連合会に勤務。現在日本医療労働組合連合会青年協議会議長。


 
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