法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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9条アピール法律家の会

2005年3月28日
大山勇一さん(9条アピール法律家の会・代表世話人)
 「9条アピール法律家の会」は,「日本国憲法9条の平和主義の理念を広くアピールし,積極的に活用していこう!」という思いを共有する法律家(特に若い弁護士)が集まって,昨年11月9日に結成したグループです。弁護士経験1年目,2年目の者が多いせいか,抜群の機動力と豊かなアイデアで楽しく活動をしています。
 いま,日本では憲法改正の動きが強まっています。憲法調査会の最終報告がいよいよ来月(2005年4月)に予想され,自民党をはじめ,公明党,民主党は憲法改正に対する意見を公表しています。そして,憲法改正の手続法である国民投票法案が通常国会で上程されようとしており,憲法改正について議論する常設の委員会作りについても取りざたされています。
 その一方で「9条の会」「憲法行脚の会」など,憲法改正は必要ではない,むしろ現行憲法の趣旨をもっと生かそうという市民の動きも活発になってきました。このような状況の中で,私たち法律家も憲法改正の動きに関する意見を表明し,具体的な行動を起こすべきだという機運が高まりました。私たちのメンバーは,いまの憲法改正の焦点は,「9条を変えるのか変えないのか」にあると考えています。言い換えれば,「日本が海外に軍隊を出し,戦争ができる国に再びなるのかならないのか」が問われていると考えているのです。憲法調査会での議論の多くが,9条に関するやりとりに費やされているのを見ても,改正の狙いが9条にあることは明らかです。
 アメリカのイラク攻撃と占領の泥沼状態により,イラクでは今もなお多くの人命が失われており,紛争の武力による解決がいかに非現実的であるかが,日々明らかになっています。また,戦争や軍事を優先する社会づくりは,必然的に個人の基本的人権の制約を伴います。戦前の日本は,「国益」や「安全」を口実にして,平気で人権を規制する社会でした。「紛争を武力で解決する」という社会への逆戻りは,「基本的人権を擁護し,社会正義を実現する」という弁護士の使命(弁護士法1条)にかけても絶対に許すことはできません。「平和なくして人権保障なし」という一致点のもと,憲法の諸原則の中でも特に9条を擁護していこうという強い思いが,「9条アピール法律家の会」という名称に込められています。
 私たちは,毎月「9日」に街頭でアピール活動を行っています。「9」という数字に引っ掛けてのイベントです。また,結成時の賛同人を「99人」としました。これはもちろん,憲法99条に定める「公務員の憲法尊重擁護義務」にかけています。街頭アピールでは,会員一人一人が9条の意義について市民に語りかけています。中には,自らギター演奏をし,音楽にあわせて平和を説く弁護士もいます。たくさんの市民が私たちのアピールに耳を傾け,多くのマスコミが私たちの活動に注目してくれています。アピール活動は,東京から京都にも飛び火をし,賛同人も増えていっています。
 先日は,民主党国会議員の「リベラルの会」というグループに招かれて学習会を担当しました。そこでは,下記にあげた私たちの会の5つの理念を紹介し,各弁護士が担当している人権課題や憲法訴訟を紹介しました。リベラルの会は,集団的自衛権の行使に反対する民主党内政策グループですが,私たちの会の理念と一致するところが多いと感じました。また,先日は,伊藤塾東京校をお借りして,GPPAC (Global Partnership for the Prevention of Armed Conflict)東北アジア地域会議東京実行委員会と共催にて「敵と味方に二分しない社会〜多文化共生と憲法9条〜」と題する市民集会を開催しました。この集会では,平和の実現のためには紛争予防・平和文化の育成が重要であるという認識のもと,憲法9条は,多様な文化・価値観を認め合いながら共生していく社会作りを指向しているということが話し合われました。
 私たちのメンバーは,平和を求める世界の市民と手をつなぐために,あらためて憲法9条を激動する世界,特にアジア地域に輝かせたいと考えています。メンバー有志で韓国を訪問し,韓国の弁護士と平和問題について議論をし,韓国においても憲法9条を訴えてきています。このように,私たちは,あらゆる機会を通じて憲法の平和原則を市民のみなさんに訴え,広範な運動の結節点の一つとなるため,各地で行動していきます。今後とも全国で「9の日」アピールを継続していくとともに,さまざまな講師・講演活動を行い,出版・メディアを通じて9条の意義を訴えていくつもりです。法律家を目指すみなさんには私たちの「9条アピール」に加わってくれることを心待ちにしています。応援・賛同よろしくお願いします。


<「9条アピール法律家の会」の理念>

1 「東アジア」の視点で,9条の意味を考えてみる
 憲法9条は,アジア・太平洋戦争への反省から生まれたものです。平和日本の建設は,戦後日本の国際社会復帰の条件であり,東アジアへの国際公約だったのです。
 そして,非暴力・非武装を唱える9条の理念は,将来の東アジアにおける平和共同体作り(東北アジア共同の家)の指針となるものです。

2 世界規模で活躍するNGOの視点で,9条の意味を考えてみる。
いまや平和活動・平和外交を担っているのは,政府だけではありません。NGOや市民をはじめ,地方自治体,メディア,企業など多様な活動主体が,国境を越えた取り組みを行っています。
「憲法前文」に記載されている「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存と保持しようと決意した」という文言は,私たちの能動的・積極的な信頼獲得のための行動を予定しています。

3 非武装による国際貢献の視点で,9条の意味を考えてみる。
紛争は未然に防ぐのが一番です。それも,非軍事的な関わりでなければなりません。紛争を未然に防ぐ,また紛争の拡大を防ぐことが,平和憲法を持つ日本の役割です。
このように考えると,日本が果たすべき活動分野がはっきりします。慢性的な貧困や水の不足,教育問題,感染病などの健康問題,難民保護,発展途上国の債務超過問題,環境破壊,核兵器廃絶などの軍縮,小火器などの兵器コントロールなどの諸問題こそ,「非武装」国家日本が大いに取り組むべき課題です。

4 「自由」の下支えとしての視点で,9条の意味を考えてみる。
「平和なくして人権保障なし」このことは,悲惨な戦争体験を持った方々でしたら,実体験としてお持ちでしょう。平和と人権保障は,まさに両輪の関係にあります。
 戦前の日本は,「軍事的価値を正当化」し,そのために個人の尊厳をないがしろにする社会でした。このような社会への逆戻りを決して許しません。

5 国際法・比較憲法の視点で,9条の意味を考えてみる。
9条は国際法や各国憲法史を発展的に「継承」したものです。国際法は,武力行使の違法化・戦争手段の限定化・多国間安全保障主義・人権の尊重を進めてきましたが,その頂点に立っている先進的な憲法がまさに,「日本国憲法」なのです。
 国際平和の実現のためには,国家が民主的に討議し協力して問題解決にあたる機関(国際連合)を更に活用していく必要があり,日本はそれに「非武装」の観点で支えていくべきです。

◆大山勇一(おおやま ゆういち)さんのプロフィール

弁護士業務の傍ら、青年法律家協会弁護士学者合同部会憲法委員会事務局長、イラク派兵差止訴訟弁護団・東京の一員、「コスタリカ平和の会」事務局長などを務める。「平和憲法を広める弁護士・市民の会」の活動などもすすめながら、「9条アピール法律家の会」を立ち上げ、精力的に活動中。韓国における9条アピール活動にも継続的に取り組んでいる。


 
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