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今週の一言

 

社会の出来事を自分の問題として考える

2004年12月20日
大月書店編集部 丸尾素子さん

<聞き手>
『茶色の朝』という本には自由がだんだん社会から失われていくことを警告するメッセージが込められていると思います。注目が広がっているこの本について、編集された丸尾さんにお尋ねします。
まず、どのような理由からこの本を出版しようと思ったのでしょうか。

<丸尾さん>

フランスで出版された『茶色の朝』に出会って、その主人公を“私みたい”って思ったんです。だんだん社会から自由がなくなってきているように感じるけれど、仕事もあるし、毎日いろいろやらなきゃならないことも多くて、なんとなくやり過ごしている。多少不安を感じても、どうすればよいのか考える暇がない、仕方がないことなんだと思う、そんな主人公なんです。そういう人は私だけではなく、多くの人たちがそうなんじゃないかと思ったんです。
フランス語の『茶色の朝』を読んで、やっぱりこのままではいけない、出版社に勤めている自分にできることとして、この本を日本で出版したい、そう思ったのです。
日本でもいろいろな法律がつくられていますが、自分の生活とは関係ないように感じられる。法案の問題点はそのつどマスコミで報道されますが、いったん法律がつくられてしまうと何もなかったように時が過ぎていく。でも、何かおかしいよねって、多くの人たちが思っている。
『茶色の朝』ではヒットラーのような人が現れて自由を制限していくわけではなく、いつのまにか「茶色」に染まっていって、「茶色の朝」が自分に訪れてはじめて気づくんです。

<聞き手>
『茶色の朝』には様々な反響があると聞いていますが、紹介していただけますか。

<丸尾さん>
読んでくださった方は小学生から90歳代の方まで幅広くいらっしゃいます。20〜30歳代の方たちは『茶色の朝』を読んでいまの社会について自分の問題として考えた方が多いようです。自分も何かしなければいけないと考え、とりあえず友人に『茶色の朝』の話をすることから始めたという声が寄せられています。また、この本を読んでからテレビのニュースの見方が変わったとか、これからは選挙にいこうと思ったという声も届いています。松山大学の学生の方は『茶色の朝』の朗読劇をされました。
中学生などからは第二次世界大戦前の日本社会をこの本を通して想像したという声をいただきました。
年配の方からは、戦前や戦争中の日本とつながる、今の日本はすでに茶色・・・と若い人たちにこの本をプレゼントしているというお話もお聞きしています。

<聞き手>
いま自由という大切な価値がどんどん蝕まれてきているように思います。戦前の日本社会への反省から生まれ、平和や自由、人権などを謳った憲法まで変えようという動きが強まっているわけですが、丸尾さんがこの本を通して社会に訴えていきたいことを最後にお聞かせください。

<丸尾さん>
いまの社会の現状はあまり自分自身の問題として語られていないように思います。戦争のことも自分自身が、あるいは自分の家族や友人が殺されたり、人を殺したりするんだということとして語られることが少ないように思うんです。戦争や自由を制限することを「仕方のないこと」とする政治家とかの多くがそうなんじゃないかと思います。やはり一人ひとりが自分のこととして考えることが大事なんだと思うんです。
『茶色の朝』は、結論を押し付けるのではなく、読者一人ひとりが想像力を働かせ、自分自身と向き合える本になるのではと思いました。そして私自身、『茶色の朝』の物語を読んだだけではまだよくわからなかったことも多かったので、今の日本とどう関わるのか、そして生きていくうえでどんなことが大切なのかを、高橋哲哉先生にメッセージとして日本語版に書いていただきました。いま、読者の方からも高橋先生のメッセージに多くの反響が届いています。この本が、多くの方たちにとって、考えるきっかけになればと思っています。
私たちの身の回りにある小さな自由というものも、おそらく人びとの様々な努力に支えられて保障されるようになったのだと思います。そうしたことを多くの人たちと語りあっていきたいと思っています。

丸尾素子さん
大月書店(http://www.otsukishoten.co.jp/)編集部


 
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