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投票に行こう!! やりたい放題の小泉政権に"NO!"をつきつけるために

2004年7月5日
浦部法穂さん(名古屋大学教授)

 7月11日は、参議院選挙です。相変わらず、「政治不信=無関心」という「国民意識」がマスコミによって宣伝され、低投票率の予想もあります。「いまの政治には、なにも期待できない」と思っている人も多いのでしょう。たしかに、「期待」したところで、どうせ裏切られるだけですから、「期待しない」ほうがいいかもしれません。しかし、いまの政治は、私たちの「期待」を裏切るというだけでなく、私たちが「なにも期待しない」のをいいことに、何でもありのやりたい放題をやっています。そして、その結果は、私たちの生活をもろに直撃しています。

 「人生いろいろ」の一言で片づけて、年金法は強行採決。じつは、その年金法の前提となっていたはずの数字が違っていた。そのことを、強行採決で法律が成立した後で発表するという、完全な「あと出し」。こんなバカにした話はありません。「なにも期待しない」のが仮に正解だとしても、だからといって無関心でいると、私たちの生活はどんどん脅かされるだけだ、ということを、年金問題は明らかにしてくれました。

 そして今度は、イラクの自衛隊の「多国籍軍」参加です。国会での議論もまったくなしに、もちろん国民に対する説明もなしに、首相が単独でいきなり「多国籍軍」参加をアメリカに約束してきた、というのですから、やりたい放題もここまで極まったか、です。それさえも、「多国籍軍もいろいろ」で片づけられてしまっているのです。日本が指揮権を持つことについては米英の了解を取りつけてある、とのふれこみも、公使レベルの口頭了解だというのですから、何の保証にもなっていません。実際の現地では、「多国籍軍」の一員でありながら日本だけがその統一指揮権に服さない、などということは、まったく非現実的です。そのときは、たぶん、また、小泉流の「開き直り」で片づけられることになるのでしょう。「ほかの国の軍隊が命がけで任務を遂行しているときに、日本だけが勝手な別行動をとれますか?」と。

 つい最近、自衛隊の制服組の幹部が、文民統制の大幅緩和の提案を防衛庁長官に提出したことが報じられていました。自衛隊の運用に対する防衛事務次官の権限を削除し、それを新設予定の統合幕僚長の権限に移す、という提案のようです。イラク派兵、多国籍軍参加と、どんどん道を踏みはずしていっても、「世論」はそんなに怒りをみせなかったという、自衛隊にとっての「追い風」を奇貨として、自衛隊もやりたい放題にできるようにしようという目論見にほかなりません。軍人が文官の介入を排除して軍の論理で行動できるようになったらどういうことになるのか、想像しただけで恐ろしくなります。

 事態は、すでにそこまで来ているのです。「投票したって、どうせなにも変わらない」どころか、逆に、投票しなければ、やりたい放題の小泉政権にいまNOを突きつけなければ、一気に、私たちの命も生活も根底から覆される方向へ、この国は変わってしまうでしょう。せめて投票用紙に、私たちの怒りをぶつけるべきときだと思います。

◆浦部教授のプロフィール

1946年愛知県生まれ。
・名古屋大学大学院法学研究科教授
・法学館憲法研究所主席客員研究員
・前神戸大学副学長 
・専攻 憲法学
・現実を直視し日本国憲法の理念を深く掘り下げ発展させる精力的な研究活動を展開している。憲法「改正」問題でも活発に発言中。

【主な著書】
『違憲審査の基準』(頸草書房、1985年)
『「憲法改正」批判』(共著)(労働旬報社、1994年) 
『ドキュメント日本国憲法』 (共編著、日本評論社、1998年)
『全訂 憲法学教室』 (日本評論社、2001年)
『入門憲法ゼミナール』(改訂版)(実務教育出版、1999年)


 

 
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