法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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第1回<世界に一つだけの花>


 そろそろ卒業式ですね。みなさんも、「君が代」とSMAPの「世界に一つだけの花」を歌って先輩を送り出すのでしょうか。それにしてもまた極端な取り合わせですが、実はSMAPのこの歌は憲法で一番大切なことを歌っているのです。

「そうさ僕らは
 世界に一つだけの花
 一人一人違う種を持つ
 その花を咲かせることだけに
 一生懸命になればいい
 
 小さい花や大きな花
 一つとして同じものはないから
 No.1にならなくてもいい
 もともと特別なOnly one」
(SMAP「世界に一つだけの花」より)

 みなさんも憲法の基本三原則くらいは習いましたね。そう、国民主権、基本的人権の尊重、戦争放棄です。でも、もっと大切なことがあります。憲法で一番大切なこと、それは、「個人の尊重」という考え方です。憲法の13条を見てください。「すべて国民は個人として尊重される」と書いてあります。それは、「人は皆同じ」「人は皆違う」という二つのことをいっています。少し説明してみましょう。

 まず、「人は皆同じ」というのは、人には誰にでも生きていく価値があって、それはみな同じだということ。誰もが一人の人間、つまり個人として大切にされるべきだということです。

 お祖父ちゃんの若いころは、日本でも戦争があって、国のためにみんなが犠牲になることが正しいと学校で教わりました。確かに国を守ることは大切かもしれません。でも、そこに住んでいる一人ひとりが幸せにならなかったら何の意味もないでしょう。国というものは、みんなの幸せを守るためにあるのですから。だから国や社会のために個人が犠牲になることはもうやめよう、一人ひとりが大切なんだといっているのです。

 たとえば、10人の凶悪犯人が捕まったとします。その中の9人は強盗や殺人を犯していて有罪になりそうです。でも1人だけ無実の人が間違って紛れ込んでしまって、誰が無実なのかわからない……。あなたが裁判官ならどうするでしょうか。全員有罪にすれば、社会は安全になるかもしれません。でも、1人の無実の人が犠牲になってしまいます。逆に全員無罪となると、無実の1人は救われるけれども、9人の凶悪犯人が社会に戻ってきてしまう、これは大変なことです。

 しかし憲法は、社会のために1人を犠牲にしてはいけないといっているのです。だから、全員無罪にしなければなりません。このことを「疑わしきは被告人の利益に」といいます。凶悪犯人が少しだけ減って社会が安全になったとしても、いつ自分が間違って逮捕されて有罪にされるかわからないようじゃ、安心して生活できませんね。だから、憲法は、私たちがびくびくしながら生活しなくてもいいように、犯人かどうかわからないなら処罰しないとしたのです。

 このように一人ひとりを大切にするということは、そのかわり、社会がある程度の覚悟を決めないといけないということです。そして何よりも、全員有罪となって社会が安全になり私たちも幸せになったとすると、その私たちの幸せは、無実なのに死刑になってしまった一人の犠牲の上に成り立っていることになりますね。それはちょっと居心地が悪い。

 そう、他人の不幸の上に成り立つ幸せは、本物ではないと感じる気持ちが大切なのです。個人の尊重というのは、けっして自分勝手でいいということではありません。自分と同じく、周りのみんなも幸せになってほしい。そのために自分に何ができるかを考えて努力することが求められているのです。

 もうひとつ、「人は皆違う」ということを考えてみましょう。誰もが生まれたときから違っています。あなたの友達にもいろいろな子がいるでしょう。勉強が得意な子や苦手な子、サッカーが上手な子やヘタな子、みんな違って当たり前。しかし自分と違うからといって仲間はずれにするのではなく、自分と違うからこそ仲良くなるべきではないでしょうか。

 何に幸せを感じるかも、人によって違っていい。だから自分の幸せは自分で決めなくてはいけません。これはちょっと大変かもしれませんね。お父さんがこれが幸せだから従いなさいということはできないから、自分で考えなくちゃならない。これを自己決定権といいます。

 卒業生の先輩たちもいろいろな人がいたでしょう。みんな自分の将来を自分で決めることができたらいいですね。みんな自分らしく生きているからこそ輝いている。お互いの違いを認め合って共に生きる。それが「個人の尊重」なのです。

 

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