法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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第19回<私たちはなぜ選挙に行くのか>


「日本国憲法第七条により衆議院を解散する」。
この言葉から衆議院の解散、総選挙がはじまりました。憲法七条には、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」とあり、その三号に「衆議院を解散すること」とあります。
天皇にはいっさいの政治的決定権はありませんから、「内閣の助言と承認」、つまり内閣の意思によって衆議院は解散されます。そして解散後の総選挙によって、国民の意思が問われることになります。今回はこの選挙や「統治機構」の意味を考えてみましょう。
憲法は、私たち国民が自由に生きることができるように国のしくみを定め、国家権力に歯止めをかけるために存在しています。そして私たちが自由に生きるためには、政治に参加することが必要となります。
国家の側にいて国民の自由を制限する人たち、つまり権力者と、自由を制限される国民とがまったく別々だと、権力者たちは好き勝手なことをしてしまう危険があります。自分には不利益がおよばないからです。そこで自由を制限される立場の人が、自由を制限する立場にまわって、「自分のことは自分たちで決める」という方法をとることで、自由の制限を最小限にすることができるのです。
つまり、「個人の尊重」という価値から導かれる「自己決定権」という人権を政治の場面にも反映させて、自分たちのことは自分たちで決める、誰かえらい人が決めたことに無批判にしたがうのではな<て、自分たちの生活のことは自分たちで主体的に決めていこう、という発想が民主主義なのです。
そして、このように政治に積極的に参加していくための人権を、「参政権」といいます。「選挙権」や「被選挙権」がその代表です。
「自由権」という人権と「参政権」という人権とは、実は表裏一体であることがわかっていただけたでしょうか。言葉をかえれば、「自由主義」という価値と「民主主義」という価値とは、切りはなせないものなのです。自分たちの生活を自分たちで決めることができて、はじめてほんとうの自由を獲得できるのです。
政治に参加したり、代表者を選んだりする「参政権」は、この権利を行使した結果が自分にはね返ってくるだけではなくて、多くの人の生活にも影響を与えます。
ですから、自分や社会のことを適切に判断できるだけの最低限の能力が必要とされるので、年齢制限がついています。みなさんが参政権を行使できるようになるまで少し待たなけれぱならないのですが、せっかくこれを使うことができるのに使わないのはほんとうにもったいないことです。自分のことは自分で決める、自由に生きるためには人まかせにしない。これが選挙に行くいちばんの理由です。
選挙の結果によって、立法権をになう国会ではいろいろな法律がつくられ、重要なことが決まっていきます。内閣総理大臣も国会で決められます。そしてその総理大臣によって選ばれた大臣たちによって内閣が組織され、これが行政権をにないます。内閣から任命された裁判官が裁判所で司法権を行使します。
つまり、国民が国会のメンバーを選び、国会で内閤のメンバーを選び、内閣で裁判所のメンバーを選ぶのですから、すべての出発点は国民にあるのです。この国会、内閣、裁判所が中心となって国の組織を運営していきます。この国のしくみのことを「統治機構」といいますが、このように統治機構は国民の意思によって成りたっています。
その出発点であった選挙は、国民が自分たちの人権を守るためにおこなうものでした。自分たちの政治に自分たちの意見を反映させて、自分たちの人権を守るために選挙に参加するわけです。その結果できあがる統治機構も、最終的には国民の人権保障のためのものでなければなりません。
つまり人権保障が「目的」であり、統治機構はそのための「手段」だということになります。政治はあくまでも、国民の人権を保障するために存在するのです。国民がより安全に、幸せに、自由に、そして安心して生きられるためには、どのような法律や制度が必要なのかを必死で考えて実現するための組織が国会であり、内閣であり、裁判所です。
国会議員も大臣も官僚も裁判官も、すぺてそこで働く人たちは私たち国民が税金で雇って仕事をしてもらっています。私たち国民が主役であり、私たちの人権保障のために仕事をしてもらっているのです。これが民主主義の基本構造です。
そして民主主義は、選挙によって代表者を選んだ後からが本番です。彼らがしっかりと仕事をしているかどうか、国民は監視しつづけなければなりません。
民主主義は代表者を信頼するのではなく、疑ってかかり、監視しつづけるところにその本質があるのです。
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