法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です
  丁寧に伝えること、僕にできることを、ずっと続けていきたい 2018年8月6日  
  玉城まさゆきさん (シンガーソングライター)  
 

—— ミュージシャンになったきっかけを教えて下さい。

 人前で初めて歌ったのが高校1年のときだったのですが、初めてだったにもかかわらずギャラをもらったんです。そして僕は勘違いしたんです。才能があるんだなって(笑)。それからずっと歌っています。その後、シンガーソングライターとして歌の仕事をしながら、いろいろな方々に曲を書くようになり、サウンドエンジニアとしてレコーディング、編集、音づくりなど制作の仕事もしています。

—— プロフィールの「沖縄DNA」とは?

 最初にCDデビューしたときに、ある物書きの方がそういうコピーライトを作ってくれたんです。僕ごときにと恐縮したのですが、そのまま使わせてもらっています。僕は沖縄人ですから、沖縄について感じたことを、簡単な言葉にして歌ったりしても、「又聞きの歌」ではなくて沖縄を直に感じると言われ、とても嬉しかったです。

—— 玉城さんの世代は、沖縄戦をどのように知ったのですか。

 生まれが昭和39年ですので1972(昭和47)年の返還まではドルを使っていました。小学生のときが本土復帰の前後で、そのころ学校では、早く本土の経済や文化に追いつくようにという教育を受けて、沖縄戦については、あまり教わらなかったんです。でもそれは学校での話で、家庭では、おじいや、おばあから、戦争の話はもちろん聴かされますよ。ただ、沖縄戦で起こったことを細かく話すことはそんなに多くないのです。それだけ酷いことだったから。思い出したくないことだったから。あとで、いろんなことを知るようになってから、そのことが分かりました。地上戦でしょう。4人に1人が亡くなっているでしょう。その中に民間人が何人いたのか、沖縄の人たちがいっぱい巻き込まれて死んでいった。そういうことを、ちゃんと事実としてわかってきて、僕たち、いろんな人たちに伝えていかなければならない立場にあると思っています。ただ、聞いた話をどういうふうに説明していけばいいのか、いつもそれで悩むんです。実際に起こったことは、聞いているのとは訳が違うから。でもそれを怠ってしまうと、今度は伝えていけなくなるじゃないですか。だから、伝え方はいろいろとあると思いますが、僕は、歌の中で書いたりとか、そのときも、どう伝えるか気持ちのなかでいつも意識しています。沖縄は矛盾がたくさんあるから、一言で言えない事って、いっぱいあるんですね。だから言葉は選びます。
 僕らは、大げさな話ではなくて、あの戦争の生き残りだと思うんですね。4人に1人が亡くなっているなかで、自分のおやじや、おふくろが、おじい、おばあに守られて死なずにすんだ。だから自分が今ここにいると考えたら、僕らは戦争の生き残りだよね、そうやって思うんですよね。だから感謝する気持ちがとっても強くて、よくぞ死なないでくれてありがとう。守ってくれて、おばあ、ありがとう。そういうふうに、とてもつよく思いますね。6月23日は沖縄戦の慰霊の日ですが、僕ら、子どものころは、12時のサイレンが鳴ると、野球で遊んでいてもバットとかボールを置いて、ちゃんと黙とうしましたよ。僕は今でも、その日12時になると南西方向を向いて黙とうしています。

—— 日本国憲法について思うことを聞かせて下さい。

 やっぱり9条ですよね。僕にとっては、戦争はもちろん反対だし、平和憲法の9条、これ守っていくべきものでしょう、というのは当たり前のことだと思っています。ただ、それをどのように伝えていくのか、伝え方は人によって形は違うと思うんですけど、僕だったら、憲法のコンサートに参加したりして歌っていく、そうやって伝えることをしています。もう10何年も前からずっと続けていることなので、おそらく生涯やっていくと思います。自分が歌っていきながら、とくに若い子たちに伝えていかなきゃいけないと考えています。「戦争放棄」「戦争しないんだよ、決めたんだから」と。
 9条に対しては、本当にあの手この手というか、たとえば「解釈を変える」とか言ってますけど、「解釈を変えるってどういう意味ですか」、とことん追及しなければいけないと思います。だって解釈変えたら意味ないでしょう、そんなものいろんなものに適用されたら、それ、おかしいでしょう。そういうことも含めて、丁寧に伝えていくこと、僕にできることを、ずっと続けていきたいと思います。続けていけるっていうのは、ぶれてないからですよね。自分のなかで迷いがあったら続けられないですよ、間違っていないと思えるから続けられる。だから平和憲法を守っていこうとする気持ちは間違ってない、絶対に正しいんです。そう思っています。

【楽曲紹介】
玉城まさゆきoffical site」からお聴き下さい。
(縄本土復帰コンサートうりずん42(2014.5.18)より玉城まさゆきステージ)
●「沖縄〜あるがままに〜」
—あるがままに 汚れた手で触れないでくれないか 俺たちの島
—何度も何度も裏切られて、沖縄はもう疲れた
●「桜花」「おばぁ〜」など計8曲を演奏したコンサートステージの様子がご覧になれます。

玉城まさゆき(たまき まさゆき)さんのプロフィール

関東を中心に音楽活動。沖縄フォークDNAを受け継ぎ、しなやかに突き刺すメッセージと叙情性を併せ持つシンガーソングライター。その無垢な歌声と言葉そして心地よいメロディーにジャンルの分け隔てなくファンを有する。作編曲家としても多くのアーティストの楽曲を担当、CDデビュー前の1998年より今日まで、サウンドエンジニアとしても高い評価を得ている。

当サイトに収載しているアート関連情報(1)(2)   CDブックス『ドレミファ憲法』